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Skild AI、ロボット基底モデル「S1」公開:1本の動画から微調整なしで動作学習

公開 拡散指数 36

Skild AIはロボット基底モデル「S1」を発表した。LLMのようなインコンテキスト学習を採用し、未学習の動作でも1本の動画プロンプトを見るだけで、微調整なしにコーヒー淹れなど10分超の複雑なタスクを実行できる。現在は一部の産業パートナー向けに先行導入されている。

画像:youtube.com

ロボットに新しい作業を教えるには、数十時間から数百時間のデータを集めてファインチューニングを繰り返すのが、これまでの常識でした。

ロボットAI企業のSkild AIは8月25日、新たな基盤モデル「S1」を発表しました。このモデル最大の特徴は、追加の学習(ファインチューニング)を一切行わず、1本の動画を見せるだけで新しいタスクを即座に実行できる「インコンテキスト学習」を実現した点です。

ロボット工学を「BERT時代」から救い出す

Skild AIは、現在のロボット分野が言語モデルにおける「BERT時代」に取り残されていると指摘します。

従来の手法では、ロボットに新しい動作をさせるたびに膨大な環境データを取り、特化型ポリシーをファインチューニングする必要がありました。しかし、十分なデータがあれば最初からゼロスクラッチで学習させたモデルが事前学習済みモデルに匹敵してしまうという研究もあり、「事前学習の存在意義とは何か」という疑問が投げかけられていました。

同社は、事前学習の真の目的は、かつてBERTからGPT-3へと進化したときのような「プロンプトから即座に学ぶ能力(インコンテキスト学習)」をロボットにもたらすことだと主張します。移動制御モデルの発表から1年を経て登場したS1は、マニピュレーション(腕の操作)にそのアプローチを本格適用した基盤モデルです。

10分間の複雑タスクも動画1本で再現

「マグカップを取って」といった単発の動作なら言葉の指示で十分ですが、パンケーキを裏返す、コーヒーを淹れる、観葉植物を鉢に植え替えるといった長く繊細な作業を言葉だけで伝えるのは困難です。人間もこうした作業は動画や実演を見て覚えます。

S1はタスク指示を動画プロンプトとして受け取ります。驚くべきは、事前学習データに一度も含まれていなかった未知のタスクであっても、最大10分間に及ぶ長い作業ステップを破綻なくこなせる点です。

未見タスクのテストにおいて、S1は従来のVLA(視覚・言語・行動)モデルを上回り、50〜100時間のデータを使ってファインチューニングした既存モデルと同等の性能を動画1本で見せつけました。同社は現在、一部の産業パートナー向けにS1の導入を開始しています。

なぜ重要か

製造現場や倉庫の自動化において、このアプローチの価値は計り知れません。工程の変更や新製品の投入があるたびにエンジニアが張り付いて数日間データを取り直す必要がなくなり、作業員が手本動画を見せるだけでセットアップが完了する可能性があります。

私たちは、Skild AIが「ロボットにおけるインコンテキスト学習」という難問に正面から挑んだ点を高く評価しています。業界内ではこれまで、20秒程度の短い動作や事前学習済みの類似作業で性能を競うケースが目立っていましたが、事前学習データにない10分規模の複合タスクを動画1本で動かせる点は、実用化に向けた大きな一歩と言えます。

ただし、映像だけでは重さや摩擦、反発力といった触覚フィードバックを捉えきれないという構造的な課題も残ります。視覚的な模倣だけで、精密な嵌合や壊れやすい物品のハンドリングといった過酷な現場の例外処理にどこまで耐えられるかは、今後の実環境検証を注意深く見極める必要があります。

情報源 (2)

  1. [1]
    x.com(新しいタブで開きます)原文x.com
  2. [2]
    skild.ai(新しいタブで開きます)報道skild.ai

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