米議員がAIデータセンター凍結法案を提出:包括的規制ができるまで新設停止へ
バーニー・サンダース上院議員とアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員が、包括的な連邦 AI 規制法が成立するまで、ピーク電力 20MW 超の新設データセンターを全米で一時停止する法案を提出した。環境や労働者保護の法制化を促す狙いだが、業界の反発も予想される。
AIインフラの拡張ラッシュが続く米国で、巨大なブレーキをかけようとする動きが出ました。
バーニー・サンダース上院議員とアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員は、新たなAIデータセンターの建設を全米規模で一時凍結する法案「Artificial Intelligence Data Center Moratorium Act」を議会に共同提出しました。包括的な連邦AI規制法が成立するまで、建設計画を全面的に停止させる内容です。
ピーク電力20MW以上の新設を全国で一時凍結
法案が標的とするのは、ピーク時の電力負荷が20メガワット(MW)を超えるすべての新規データセンタープロジェクトです。
最先端のAIモデルを学習・運用する巨大ファシリティの大半は、この20MWという基準をはるかに上回ります。法案に基づけば、労働者保護、消費者保護、環境破壊の防止、市民的自由の保障などを定めた連邦法が可決されるまで、工事や開発の再開は認められません。
2人が求める規制要件は極めて広範です。AIモデルの事前審査および認証制度の導入、AIによる雇用喪失への対策、建設現場における労働組合員の雇用義務化に加え、同水準の規制を持たない国への先端半導体の輸出禁止まで盛り込まれています。現時点で同等の法体系を持つ国はほぼ存在しないため、事実上の禁輸措置に近い要求です。
議会内でAI規制を巡る意見対立が続いている現状を考えると、法案が通ればデータセンター建設は数年間にわたって凍結される可能性があります。
テック界の警告発言が議会でブーメランに
注目すべきは、サンダース議員側が法案の根拠としてテック業界のリーダーたち自身の過去の発言を挙げている点です。
「AIは核兵器よりもはるかに危険なのに、なぜ規制の監視がないのか」と発言したイーロン・マスク氏をはじめ、Google DeepMindのデミス・ハサビス氏、Anthropicのダリオ・アモデイ氏、OpenAIのサム・アルトマン氏、ノーベル賞受賞者のジェフリー・ヒントン氏らによるAIのリスク警告が並べられました。
米世論の空気も懸念寄りに傾いています。3月のピュー研究所の調査では、AIへの期待感が懸念を上回ると答えた米国人はわずか10パーセントにとどまり、大半が不安を抱いていることが示されました。
もっとも、AI企業による巨額の政治献金や、中国との覇権争いへの警戒感から、法案成立へのハードルは極めて高いとみられています。ホワイトハウスも独自のAI規制方針を議会に提出したばかりで、政界の議論は複雑化しています。
なぜ重要か
この法案がそのまま成立する可能性は極めて低いとみられますが、法案が投げかけた問題提起の影響力は小さくありません。
賢い点は、実体の掴みにくいソフトウェアやアルゴリズムではなく、電力とインフラという物理的な制約を狙い撃ちにしたことです。20MWという敷居を設けることで、AI開発の生命線である物理拠点を人質に取り、労働条件や環境基準に関する大幅な譲歩をテック企業に迫る交渉カードとして機能しています。
ユーザーや開発者にとっても、AIの急拡大に伴う電気代の高騰や電力網の逼迫はすでに身近な生活課題になりつつあります。この法案は、これまで野放しに近いペースで進んできたデータセンター拡張に対して、地域社会や環境への負荷というコストを正面から突きつける契機になるはずです。
情報源 (2)
- axios.com(新しいタブで開きます)原文axios.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com