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研究

Salesforce、言語モデルで人工タンパク質を設計 自然進化に匹敵する活性を実証

公開 拡散指数 55

Salesforce Researchやカリフォルニア大学などのチームが、言語モデル「ProGen」を用いて機能的な人工タンパク質を設計することに成功した。2億8000万件の配列を学習し、アミノ酸の並びを文法のように予測する。合成されたサンプルの73%が機能し、大腸菌を死滅させる活性も確認された。

文章の執筆やプログラミングの支援にとどまらず、大規模言語モデルが生命の進化そのものを模倣し始めました。

Salesforce Researchとカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)、カリフォルニア大学バークレー校の研究チームが、科学誌『Nature Biotechnology』に画期的な論文を発表しました。言語モデル「ProGen」を使い、ゼロから機能的な人工タンパク質を設計することに成功したという内容です。

アミノ酸を「単語」として読み解く

タンパク質は20種類のアミノ酸が鎖のように連なってできています。その並び順によって立体的な構造が決まり、体内で果たす役割が変わります。

Salesforceの研究チームが着目したのは、この仕組みが言語の文法と酷似している点でした。単語が並んで文になるように、アミノ酸が並んでタンパク質という文を構成しています。

研究チームは2億8000万件もの既存タンパク質データをProGenに読み込ませました。ChatGPTが文脈から次の単語を予測するのと同じように、直前のアミノ酸から次に来るべきアミノ酸の確率を学習させたのです。

AIが無意味なアミノ酸の羅列を出力しないよう検証機構を組み込み、今回は抗菌活性を持つ特定のタンパク質グループに焦点を絞って生成を行いました。

配列が3割違っても、大腸菌をしっかり分解

画面上で設計した文字列が、実際の生体内で本当に働くのかが最大の問題でした。チームはAIが提案した分子の中から100種類を実際にラボで合成しました。

結果は予想以上でした。合成された分子のうち66種類が、卵白や唾液に含まれる天然の溶菌酵素と同じような化学反応を示しました。Salesforceの試算では、ProGenが作ったタンパク質の73%が正常に機能し、天然タンパク質の基準値である59%を上回る活性率を記録しています。

さらに反応が強かった上位5種類を実際の大腸菌に投与したところ、2種類が見事に細菌の細胞壁を破壊して死滅させました。

X線で分子の立体形状を撮影したところ、既存の天然タンパク質と配列が最大30%も異なっているにもかかわらず、立体構造は天然のものとほぼ完全に一致していました。UCSFのJames Fraser氏は「アヒルのように見えてアヒルのように鳴くだけでなく、X線によってアヒルのように歩くことまで確認できた」と驚きを語っています。

なぜ重要か

自然界が何百万年もかけて試行錯誤してきたタンパク質の進化を、言語モデルが数秒の生成プロセスで再現できることが証明されました。

この研究の非常にスマートな点は、複雑な三次元の物理シミュレーションを真正面から解くのではなく、一次元のテキスト生成問題に置き換えたことです。それだけで、AIは進化の背後にある暗黙の文法を自律的に学習してしまいました。

応用先としてまず期待されるのは創薬です。チームはすでに関節リウマチや多発性硬化症といった難病の治療法探索に着手しており、薬剤耐性を持つスーパー耐性菌への対抗策としても有望視されています。

ただし過度な楽観は禁物です。研究に関わったProfluentのAli Madani氏が指摘するように、AIが数分で膨大な候補分子を出力できたとしても、それを研究室で実際に合成して効果を検証するには、いまなお膨大な時間とコストがかかります。

創薬のボトルネックは「どう設計するか」から「どう素早く検証するか」という現場の実験工程へと確実にシフトしています。

情報源 (3)

  1. [1]
    popularmechanics.com(新しいタブで開きます)原文popularmechanics.com
  2. [2]
    newscientist.com(新しいタブで開きます)報道newscientist.com
  3. [3]

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