本文へスキップ
IFAI

AIツール

SalesforceがSlack向け「Agentforce」発表、実務を担う「デジタル同僚」へ

公開 拡散指数 31

Salesforceは月曜日、Slack内で自律的に動くAIエージェント「Agentforce in Slack」を発表した。単なる会話にとどまらず、社内データ検索や複数システムにまたがる業務を実行できる。6月12日からは研修や社内サポート向けテンプレートも提供される。

SalesforceがSlack向け「Agentforce」発表、実務を担う「デジタル同僚」へ
画像:venturebeat.com

Salesforceは米国時間の月曜日、Slack内で直接動作する特化型AI「デジタルチームメイト」構想に基づく新機能「Agentforce in Slack」を発表しました。

汎用的な対話型チャットボットにとどまらず、日常のチャット画面にいながら会話の横断検索、企業データへのアクセス、複数システムをまたぐワークフローの自動実行までを担う専門エージェントを構築・展開できます。

汎用ボットから実務をこなす「専任の同僚」へ

これまでの企業向けAIは、何でも答えられる反面、複雑な業務手続きや社内ルールの遵守でつまずくケースが目立っていました。

今回のAgentforce in Slackは、特定の業務に特化したエージェントをSlackチャンネルに常駐させる設計です。Salesforceは導入の手間を減らすため、6月12日より「従業員エージェントテンプレート」の提供を開始します。CRMデータを要約する顧客インサイト、新入社員の受け入れ支援、総務やITの問い合わせに対応するヘルプデスクの3種が先行して用意されます。

裏側では、メッセージやファイルをリアルタイムで横断検索する「Slack Enterprise Search」と、チームの文脈を把握して自然に応答する「General Slack Topic」という2つの新技術が連携しています。

社内データの漏洩対策として、Agentforceは既存のSalesforceおよびSlackのアクセス権限を厳密に引き継ぎます。ユーザーが見られない情報はエージェントも参照できません。また、Salesforceの有料ライセンスを持たないSlackユーザー向けに無料のIDライセンスを提供し、全社的な利用を後押しします。

先行導入した企業ではすでに効果が出ています。Formula 1(F1)ではファンの問い合わせへの回答速度が80%短縮され、初回解決率は95%を超えました。OpenTableは導入後わずか3週間でレストランからのWeb問い合わせの73%をエージェントに処理させ、決済サービスのEngineは平均処理時間を15%削減し年間200万ドルのコスト削減を見込んでいます。

Salesforce社内のエンジニアリング支援エージェントでも、半年で3500人の社員から寄せられた1万8000件超の対話を処理。チャンネルあたり月30時間の業務を削減し、年間で8人以上のフルタイム社員分に相当する1万7000時間と140万ドルの削減効果を見込んでいます。

なぜ重要か

企業向けAIの主戦場は、独立したチャット画面から「従業員が一日中開いているコミュニケーションの場」へと完全に移りつつあります。

ユーザー目線で見ると、別のWebブラウザを開くことなく、普段のSlackチャンネルでメンションするだけで社内手続きやデータ抽出が完結する利便性は非常に高いと言えます。無料のIDライセンスによって、営業部門以外にもコスト負担なしで展開できるため、ITや人事の定型的な問い合わせ窓口として試す価値は十分にあります。

業界全体としては、Microsoft CopilotやGoogle Geminiに対する強力な対抗策になります。マイクロソフトはOffice 365のオフィスソフトを押さえていますが、日々のリアルタイムな対話ログはSlackが握っています。Slackを業務指示のハブに仕立て上げることで、他社エコシステムへの乗り換えを防ぐ狙いが透けて見えます。

汎用AIを配るのではなく業務テンプレートとして提供するアプローチは賢明です。一方で、AIが複数システムにまたがって更新などのアクションを起こす場合、誤動作や誤処理が起きた際の影響はチャットの誤答よりも格段に大きくなります。どこまで自律的な権限を与えるかの線引きが、今後の本格普及に向けた最大の焦点になりそうです。

情報源 (1)

  1. [1]
    venturebeat.com(新しいタブで開きます)原文venturebeat.com

毎日のAIピックアップ