Sakana AIが「ダーウィン・ゲーデル・マシン」発表、自己コード書き換えで進化
Sakana AIとUBCは自身のコードを書き換えて性能を高めるAIエージェント「Darwin Gödel Machine」を発表した。進化論に着想を得た手法により、SWE-benchのスコアを20.0%から50.0%へと自律的に向上させた。コードはGitHubで公開されている。

Darwin Gödel Machine(DGM)は、自分自身のPythonコードを書き換えることで性能を自律的に高めるオープンソースのコーディングエージェントです。Sakana AIとブリティッシュコロンビア大学(UBC)のJeff Clune研究室が共同開発し、コードはGitHubで公開されています。
自身のコードを書き換える仕組み
現在普及しているAIエージェントの多くは、一度デプロイされると設計やワークフローが固定されたまま動作します。DGMは基底モデルとオープンエンドな進化アルゴリズムを組み合わせ、エージェント自身が自らのコードベースを探索・修正できるように設計されています。
進化の過程で、DGMは人間の手を介さずに実用的な機能を自力で追加していきました。パッチの検証ステップの導入をはじめ、ファイル閲覧や編集ツールの改良、複数の解決策を生成して比較評価するフローの構築、過去の失敗履歴を記録して同じ過ちを避ける仕組みなどを自律的に獲得しています。
コードの改変は当てずっぽうに行われるわけではありません。DGMは変更案を作成するたびに下流のプログラミング課題でテストを実施し、性能向上が確認されたバージョンだけをアーカイブに追加します。新しい派生版は過去の優れた親エージェントから枝分かれして進化できるため、広大な設計空間を並行して効率的に探索できます。
計測された成果と公開状況
ベンチマークテストにおいて、DGMは自己改善による顕著なスコア向上を示しました。実際のGitHubの不具合修正能力を測るSWE-benchでは、初期の20.0%から50.0%へとスコアを自律的に引き上げました。
また、多言語ベンチマークのPolyglotでも成功率が14.2%から30.7%へ跳ね上がり、Aiderなどの人間が綿密に設計した代表的エージェントを明確に上回りました。実験では計算リソースを増やすほど自己改善が進むことも示されており、コード書き換えを無効化した比較実験では大きく劣る結果となっています。
コードはGitHub(jennyzzt/dgm)で入手可能で、技術レポートもarXivで閲覧できます。研究は博士課程のJenny Zhang氏とShengran Hu氏が主導し、Cong Lu氏やRobert Lange氏が協力しました。
なぜ重要か
エージェント開発や自動プログラミングの研究者にとって、DGMは手作業によるプロンプト調整から脱却する強力なヒントになります。AI自身にツールやワークフローを改善させるアプローチが現実的であることを示した点で、一度コードを読んでみる価値は十分にあります。
一方で、実行可能なコードをAI自らに改変させる仕組みは、安全面でのリスクと表裏一体です。DGMは自己進化の有効性を見事に実証しましたが、実務の現場で安全に動かすには厳格なサンドボックス環境の整備が前提になると考えられます。
情報源 (2)
- @sakanaailabs(新しいタブで開きます)原文x.com
- sakana.ai(新しいタブで開きます)報道sakana.ai