Sakana AI、他モデルを指揮する7Bモデル「Conductor」発表
Sakana AIは、自ら直接問題を解くのではなく、GPT-5やClaudeなどの先端モデルに自然言語で指示を出して協調させる7Bモデル「Conductor」を発表した。タスクの難易度に応じて動的にチームを編成し、LiveCodeBenchで各単体モデルを上回る83.9%を達成した。
GPT-5やClaudeのような先端モデルをプログラマーとするなら、人間が固定した手順を毎回手書きすることなく、自律して彼らを束ねる「マネージャー」がいればどうなるか。
Sakana AIがICLR 2026採択論文で発表した「Conductor」は、まさにその発想から生まれた7Bサイズの指揮者モデルだ。
Conductor自身は直接コードを書いたり回答を出したりしない。他の先端モデルをまとめ上げるプロジェクトマネージャー役に徹する。
プロンプト設計をこなす軽量PM
従来のマルチエージェントは、人間が手作業で組んだ固定的なワークフローに頼るか、単純にどの単一モデルに投げるかを決めるルーティングにとどまっていた。
Conductorは自然言語そのものを制御インターフェースとして使うよう強化学習で訓練されている。
入力された課題に対して、Conductorはどのエージェントを呼ぶか、どのような個別プロンプトを渡すか、文脈としてどの履歴を見せるかを動的に判断する。
簡単な知識問題なら単発で即答させ、難関コーディング問題ならプランナー、実行役、検証役を組み合わせたチームを自律的に立ち上げる。
さらに自分自身を呼び出して前段の出力を点検し、失敗を検知したらその場で修正フローを回す再帰的なテスト時スケーリングも身につけた。
単体モデルを上回る記録
この7Bの指揮官が率いるチームは、指揮下にある巨大モデルの単体性能を軒並み上回った。
発表時点でLiveCodeBenchでは83.9%、GPQA-Diamondでは87.5%という新記録を達成している。
また、大量のモデルに同時並行で投げ続けるMixture-of-Agentsのような手法と比べても、必要な工程だけを組むためはるかに低いコストで高い性能を出せるという。
Sakana AIは、先だって発表した「TRINITY」とともに、このConductorの知見をマルチエージェント製品「Sakana Fugu」の基盤として投入している。
なぜ重要か
万能の巨大モデルを1つ作ってすべてを解かせるのではなく、小さなモデルに組織管理を任せるというアプローチは極めて実用的だと考える。
現場の開発者がマルチエージェントを構築する際、プロンプトの微調整や手動の分岐設定に膨大な時間を取られがちだった。Sakanaはそれを7Bモデルの強化学習に肩代わりさせられることを示した。
OpenAIやAnthropicなど異なるベンダーのAPIを使い分けるユーザーにとっても、状況に応じた最適な分業を自動化できる利点は大きい。
一方で、複数モデルを呼び出すことによるレイテンシーの増大や、外部APIの障害による連鎖的な失敗リスクは依然として残る。指揮官が生成するプロンプトのぶれが下流にどう波及するかも注視が必要だ。
それでも、推論時の計算リソースを単なる多数決ではなく「動的なチーム編成」に投じる方向性は、今後のエージェント開発に大きな示唆を与えている。
情報源 (1)
- x.com(新しいタブで開きます)原文x.com