Ant傘下Robbyantが「LingBot-World 2.0」公開:720p 60fpsで操作可能な世界を生成
Ant Group傘下のRobbyantは世界モデル「LingBot-World 2.0」をオープンソース公開した。因果的事前学習により画質劣化を抑えて長時間対話に対応し、蒸留モデルは720p 60fpsのリアルタイム生成を実現。1.3Bおよび14Bの重みが提供されている。

Ant Group傘下のRobbyantが公開した「LingBot-World 2.0(別名 LingBot-World-Infinity)」は、動画生成AIをリアルタイムに操作可能な仮想空間へと変える世界モデルです。キーボード入力やテキスト指示に応じて、モデルが逐次映像を生成してストリーミング出力します。
何ができるか
従来のインタラクティブ世界モデルは、数十秒から数分動かすと映像が崩れたりボケたりするドリフト現象が課題でした。LingBot-World 2.0は因果的事前学習を活用することで、1時間以上連続して操作しても目に見える画質劣化が起きない安定性を実現しています。
操作可能なアクションも大幅に拡張されました。単なる視点移動だけでなく、攻撃、弓矢、魔法詠唱、射撃といったキャラクター動作に対応しています。デモでは部屋の中の椅子を操作して移動させるといった物理挙動も再現されています。また、テキスト入力によって途中で雨や雪を降らせるなど、環境側のイベントを書き換えることも可能です。
さらに、Pilot AgentとDirector Agentによる二重のエージェント機構を搭載しています。Pilotがキャラクターの行動計画と実行を担い、Directorが進行に合わせて新たな環境要素を追加することで、入力がなくても世界が自律的に変化し続ける仕組みを整えています。
動作環境と仕様
本プロジェクトはWan2.2をベースに開発されており、KVキャッシュを用いたチャンク単位の因果推論を採用しています。蒸留されたリアルタイム版は、720pの解像度かつ60fpsでの映像出力をサポートします。
モデルサイズは14Bと1.3Bの2種類が用意されています。高画質な14Bと軽量高速な1.3Bから選択でき、重みはHugging FaceおよびModelScopeで配布されています。全体のファイル容量は約86GBです。
ローカルでの実行負荷はかなり高めです。公式の推論スクリプト(480p動作)では、14Bの高速モデルの実行に8基のGPU、1.3Bモデルでも4基のGPUが必要とされています。ライセンスは非商用利用に限定されたCC BY-NC-SA 4.0です。本番用のデプロイコードは非公開とされており、自前で構築する場合はSGLangやflashdreamsの活用が案内されています。環境構築を行わずに試したい場合は、ReactorやLingGuangなどのプラットフォームでリアルタイム体験が可能です。
なぜ重要か
ロボティクスや具身知能(Embodied AI)の研究者にとって、GoogleのGenie 3のような先行研究が非公開である中、オープンソースかつ長時間動作する世界モデルが登場した価値は極めて大きいです。
従来の3Dグラフィックスエンジンを使わず、ニューラルネットワークだけで1時間以上破綻せずに操作可能な空間を維持できることを実証した点は大きな前進といえます。多大なGPUリソースと非商用ライセンスという制約はあるものの、シミュレーション用データの生成やインタラクティブ生成技術の実験基盤として、真っ先に検証する価値があるツールです。
情報源 (1)
- github.com(新しいタブで開きます)原文github.com