自己改善型AIのRecursive、評価額46.5億ドルで6.5億ドルを調達
元OpenAIやDeepMindの研究者らが率いるRecursiveは、評価額46.5億ドルで6.5億ドルの資金調達を実施したと発表した。GVとGreycroftが主導し、NVIDIAとAMDも参加。安全に自己改善実験を繰り返すAIを開発し、自動化された科学的発見を通じて超知能の実現を目指す。

最先端の大規模言語モデル開発は今もなお、人間のトップ研究者がアーキテクチャを設計し、データを整え、実験結果を手作業で評価するというプロセスに依存しています。
ステルス状態から姿を現した新興AI企業「Recursive(Recursive SI)」は、この研究開発プロセスそのものをAIに委ねようとしています。
同社は、評価額46億5000万ドルで6億5000万ドルの資金調達を実施したことを発表しました。このラウンドはGV(旧Google Ventures)とGreycroftが主導し、半導体大手のNVIDIAとAMD Venturesも揃って参加しています。
大手AI研究所の元リーダーが集結
Recursiveの現在の陣容は、サンフランシスコとロンドンを拠点とする25人強のチームです。小規模ながら、その経歴は極めて異色です。
共同創業者やメンバーは、OpenAI、Google DeepMind、Google Brain、Meta AI、Salesforce AI、Uber AIなどで研究チームを率いてきた研究者たちで構成されています。過去にユニコーン企業を立ち上げたり、大手テック企業に買収された実績を持つシリアルアントレプレナーも含まれます。
同社が注力領域として挙げるのは、オープンエンド型アルゴリズム、品質多様性(Quality Diversity)アルゴリズム、自己改善型コーディングエージェント、自動レッドチーム、世界モデル、そして「AIサイエンティスト」の実現です。
人間が手作業でモデルを調整するのではなく、自律的に仮説を立てて実験し、能力を伸ばす仕組みを根本から構築することを目指しています。
進化論に学ぶ「自己改善型AI」の正体
Recursiveの基本姿勢は、ダーウィン的な自然淘汰と文化の進化プロセスに基づいています。
人類の知性は誰かが設計したものではなく、無制限の試行錯誤と蓄積の連続から生まれました。同社は、AIの発展も同様の軌跡をたどると主張しています。計算資源とデータが増えるにつれ、人手による設計手法は機械主導の発見プロセスに置き換わるという考え方です。
当面の目標は「AIがAIを改善する」ループを完成させることです。AI研究そのものを対象に実験を重ねる手法を確立した上で、将来的にはあらゆる自然科学分野の研究に応用していく方針を掲げています。
なぜ重要か
一般の開発者や企業ユーザーにとって、現時点で試せるプロダクトや公開APIはありません。純粋な基礎研究フェーズにあるため、今すぐ業務に影響が出る類のものではないと言えます。
業界全体にとって重要なのは、AI開発の主戦場が「人海戦術による事前学習」から「自己改善と探索型アルゴリズム」へとシフトしつつある事実を強烈に裏付けた点です。競合するNVIDIAとAMDが同時に出資している点も、自己改善ループが将来的に膨大な推論・探索コンピュートを消費することを見越した布石と捉えられます。
私たちは、最初の対象を「AI研究そのもの」に絞ったアプローチは合理的だと考えます。コード実行やベンチマーク評価など、デジタル空間内で高速に検証ループを回せるため、物理的な実験が必要な他の科学分野よりも圧倒的に早くフィードバックが得られるからです。
一方で、自己改善型システムには固有のリスクが付きまといます。外部からの適切な制約がない場合、誤った最適化目標に暴走したり、モデル性能が崩壊する懸念は理論上常に指摘されてきました。25人強のチームに対して46億5000万ドルという巨額の評価額がついたことで、自己改善が本当に人間の研究者を超えるペースで成果を出せるのか、極めてシビアな実証が求められることになります。
情報源 (1)
- @recursive_si(新しいタブで開きます)原文x.com