Pruna、動画モデルを画像生成に改造した「P-H3-Image」をオープン公開 8ステップで高解像度出力
Pruna AIは、動画生成モデルMiniMax-H3をベースにした画像生成・編集モデルP-H3-Imageをオープンウェイトで公開した。アーキテクチャの刷新により50ステップから8ステップへと5倍高速化し、最小20GBまで軽量化。最大1600万画素の出力や8枚の参照画像合成に対応する。

最先端の画像生成モデルを作ろうとすれば、普通は膨大な画像データセットと計算資源が必要になる。だがPruna AIは、オープンソースの動画生成モデルを徹底的に解体し、高速な画像生成器へと作り変えるアプローチを選んだ。
同社が公開したオープンウェイトモデル「P-H3-Image」は、夏に公開された動画生成モデル「MiniMax-H3」をベースに再構築されたものだ。アーキテクチャのほぼ全域に手を加えることで、元々143GBもあった重厚な動画エンジンを最小20GBまで削ぎ落とし、わずか8ステップで高解像度画像を生成できるようにした。
動画の骨組みを削り、画像専用に再設計
なぜわざわざ動画モデルから始めるのか。理由はシンプルで、動画モデルはフレーム間の一貫性を保つため、光の当たり方や物体の立体構造、動きの規則性を最初から学習しているからだ。この物理的な前提知識は、従来の画像モデルよりも格段に深い。
しかし、MiniMax-H3はそのまま単一フレームを出力させると輪郭がぼやけやすく、50ステップを要する巨大なモデルゆえに個人のローカル環境では動かせなかった。
Prunaはコンポーネントを徹底的に入れ替えた。まず32Bあったテキストエンコーダーを蒸留によって4Bに圧縮し、容量を67GBから9GBへ削減。さらにトランスフォーマー骨幹の40%を占めていたタイムステップ処理部分を軽量な代替構造に置き換え、バックボーンパラメータを33Bから20Bへとスリム化した。
拡散ステップはDMD蒸留によって50ステップから8ステップへと大幅短縮。複数フレーム用の動画デコーダーも単一フレーム専用のシャープなデコーダーへと換装した。4ビットおよび8ビット量子化も施され、最小構成のダウンロード容量は元モデルの約7分の1となる20GBに収まる。
速度は5倍、最大8枚の参照画像を合成
この軽量化によって、生成パフォーマンスは劇的に向上した。Nvidia B200環境において、400万画素の画像生成時間は従来の12.4秒から2.6秒へと短縮。800万画素でも5.8秒と、約5倍の高速化を達成している。
4ビット版であれば、800万画素生成時のピークVRAM消費量は約21GB。24GB VRAMを搭載したハイエンドなコンシューマー向けGPUでも実用圏内に入ってきた。
画質面では、映画のワンシーンやドキュメンタリー写真、リアルな肌の質感、アニメ調などで高い描写力を誇る。さらに動画モデルの参照能力を受け継ぎ、最大8枚の参照画像を違和感なくひとつの構図に統合したり、自然言語で既存画像を編集したりすることが可能だ。
細かい文字やコードの生成、解像度が低い際の手先や背景の小さな人物の描写にはまだ破綻が見られる。現在Hugging Faceでモデルが公開されており、ComfyUIもカスタムノード不要でネイティブ対応している。
なぜ重要か
動画モデルの知見を静止画生成へと「蒸留」するこの手法は、今後のオープンソース開発において非常に賢い抜け道を示している。動画モデルが獲得した高い空間認識や光影の表現力を流用することで、ゼロから巨大な画像モデルを学習させるコストを回避しつつ、既存の画像モデルを凌ぐ映画的な質感を獲得できるからだ。
クリエイターにとっては、ComfyUIで8ステップかつ8枚の参照画像を使ったキャラ固定やシーン合成がローカルで試せるメリットは大きい。
ただし、最大の障壁となるのはライセンス面だろう。ベースとなったMiniMax H3のコミュニティライセンスを引き継いでいるため、米国、EU、英国、韓国などでの利用には個別の商用許可が必要とされている。技術的なポテンシャルが非常に高いだけに、法的な制約がクリアされない限り、商用パイプラインへの即時導入には慎重にならざるを得ない。
情報源 (1)
- pruna.ai(新しいタブで開きます)原文pruna.ai