Perplexityが「Comet Plus」発表:月額5ドル、メディアに対価を還元
Perplexityは提携メディアの有料記事にアクセスできる月額5ドルの新購読プラン「Comet Plus」を発表した。人間による閲覧に加え、AI検索の引用やエージェントの操作実績に応じてメディアへ収益を分配する仕組みで、Pro/Max会員には追加費用なしで提供される。

これまでウェブメディアは、読者が記事を開いて広告を見ることで収益を得てきました。しかし、AIが勝手に記事を要約し、ユーザーがサイトを訪れなくなったことで、両者の対立は限界に達していました。
著作権侵害としてメディア各社から訴訟を起こされているPerplexityが、ついに具体的な金銭的解決策を提示しました。同社は新サブスクリプション「Comet Plus」を発表し、提携する出版社に総額4250万ドルの収益を分配する方針を明らかにしました。
料金は単体契約で月額5ドルですが、既存のPerplexity ProおよびMax会員は追加料金なしで利用できます。CEOのアラビンド・スリニバス氏は、これを人間とAI双方がネットコンテンツを消費するための「Apple News+の強化版」のようなものだと説明しています。
AIエージェントの閲覧にも対価を払う仕組み
従来の課金モデルは人間のクリック数しか評価していませんでしたが、現在はAIがユーザーに代わって記事を読み、要約する時代です。
Comet Plusでは、収益の分配基準を3種類に分類しています。人間が直接サイトを訪れるトラフィック、Perplexityの検索回答に引用された際のトラフィック、そしてAIアシスタントがスケジュールやタスク処理のために記事を参照したエージェントトラフィックです。
同社によると、計算コストを差し引いたサブスクリプション収益の大半が出版社へ配分され、その割合は約80%に達すると報じられています。
提携するメディアの具体的な顔ぶれはまだ明かされておらず、Cometブラウザが一般向けに無料開放されるタイミングで正式発表される予定です。
激化する著作権訴訟への防衛策
このプログラムが立ち上げられた背景には、メディア業界との泥沼の法廷闘争があります。
Perplexityは現在、ニューズ・コープ傘下のダウ・ジョーンズから著作権侵害で訴訟を起こされているほか、フォーブスやコンデナストからも抗議通知書を受け取っています。
メディア側から見れば、自社の記者が取材した成果物をAI企業が無断で奪い、自社サービス内でユーザーを囲い込んでいる構図にほかなりません。
今回の4250万ドルの分配金は、そうした批判をかわし、合法的なエコシステムを構築しているとアピールするための歩み寄りと言えます。
なぜ重要か
一般ユーザーにとって、有料記事の壁に阻まれていた高品質な情報ソースが、AIの検索や要約の回答精度を底上げしてくれるメリットがあります。特にProプラン利用者なら追加費用なしで恩恵を受けられるため、試す価値は十分にあります。
業界全体にとっても、AIエージェントの処理そのものを対価が発生する消費行動として定義した点は非常に画期的です。大手メディアと個別に非公開の包括契約を結んできたOpenAIやGoogleに対しても、透明な配分モデルの提示を迫る圧力になるはずです。
ただ、出版社側の視点に立つと、月額5ドルのプールを多数の社で分け合う経済規模はあまりに小さすぎます。本来なら自社サイトで1社あたり数十ドル取れるサブスクビジネスを、微々たる分配金で補填できるとは思えません。
今回の施策は、Perplexityによる賢い和解の試みではあるものの、メディア産業の根本的な減収を救う決定打には見えません。訴訟を回避するための防壁としては機能するかもしれませんが、AIと報道機関の間の緊張関係は今後も続くと考えられます。
情報源 (1)
- perplexity.ai(新しいタブで開きます)原文perplexity.ai