OpenAIの評価額が5000億ドルに到達、SpaceX抜き世界首位へ
OpenAIの現旧従業員がソフトバンクグループやThrive Capitalなどの投資家連合に対し、約66億ドル相当の株式を売却した。これにより同社の評価額は5000億ドルに達し、SpaceXの4000億ドルを抜いて世界最大のスタートアップとなった。激化するAI人材引き抜きへの対抗策としても注目される。

イーロン・マスク氏率いるSpaceXが守り続けてきた「世界で最も企業価値の高いスタートアップ」の座を、かつて同氏が共同創業者として名を連ねた古巣が塗り替えました。
OpenAIの現役社員および元社員が、保有する自社株約66億ドル分を売却しました。関係者によると、このセカンダリー取引によって同社の評価額は5000億ドル(約75兆円)に達し、SpaceXの4000億ドルを上回りました。
株式を引き受けたのは、ソフトバンクグループ、Thrive Capital、Dragoneer Investment Group、アブダビ拠点のMGX、T. Rowe Priceなどです。今年8月に評価額3000億ドルで400億ドルを調達したばかりですが、わずか数か月で評価額がさらに跳ね上がった格好です。
66億ドルを現金化、それでも持ち株を残す社員たち
今回の取引は新株発行ではなく既存株の売却であるため、調達された資金はOpenAIの金庫ではなく社員の懐に入ります。
注目すべきは、会社側が当初認めていた売却可能枠が100億ドル以上だったのに対し、実際の売却額が約66億ドルにとどまった点です。権利を持つ多くの社員が、会社のさらなる成長を見越して手元に株を残す選択をしたと見られています。
一方で、このタイミングでの現金化機会の提供は、経営陣にとって防衛策としての意味合いを持ちます。現在Metaが「超知能」開発チーム向けに9桁(数億ドル)規模の報酬や巨額のサイニングボーナスを提示し、今夏だけでもOpenAIから少なくとも7人の優秀な技術者を引き抜いています。社員をつなぎとめる上で、強力なインセンティブとなりました。
巨額のインフラ投資と、立ちはだかる再編の壁
5000億ドルという評価額の裏では、前例のない規模の資金計画が動いています。
OpenAIの2025年上半期の売上高は43億ドル、キャッシュの消費額は25億ドルでした。しかし同社が背負う将来のコミットメントは桁違いです。今後5年間でOracleのクラウドサービスに3000億ドルを投じる契約を結んでいるほか、SKハイニックスとも協業しています。さらに9月にはNvidiaが1000億ドル規模のインフラ投資計画を発表しました。
足元では、従来の非営利組織から営利企業(パブリック・ベネフィット・コーポレーション)への組織移行を巡り、Microsoftとの協議が大詰めを迎えています。しかし、創業時の理念を放棄したとして提訴しているマスク氏との法廷闘争が続いており、裁判所の判断次第では権利関係が複雑化するリスクを抱えています。
なぜ重要か
未上場企業の評価額が5000億ドルに達したという事実は、巨大インフラ投資を伴う生成AI開発に対し、世界的なマネーが依然として強い確信を持っていることを示しています。
開発者やユーザーの視点では、GPT-5やSora 2といった先端モデルの開発基盤が潤沢な資本によって支えられ続ける点は安心材料です。一方で、莫大なインフラ費用を回収するため、今後はAPI利用料や法人向けサービスでの収益化圧力が一段と強まることが予想されます。
今回の動きで賢明だったのは、Metaによる巨額の引き抜き攻勢に対し、自社株買い取りを通じて実効性の高い防衛線を張った点です。優秀な人材の離脱を防ぐには、将来の期待値だけでなく現実の流動性を示す必要がありました。
ただし懸念も残ります。Oracleへの3000億ドルもの支払いやNvidiaとの資本循環など、前提となる成長曲線がわずかでも崩れれば大きな歪みが生じます。マスク氏による訴訟や組織改編の着地点を含め、高すぎる期待値を維持し続けられるかどうかの正念場を迎えています。
情報源 (2)
- financialpost.com(新しいタブで開きます)原文financialpost.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com