OpenAI、「デューン」由来の低コストAIモデル開発を中止か 効率が目標に届かず
報道によると、OpenAIは開発中だったAIモデル「Arrakis」のプロジェクトを今年初めに中止した。ChatGPTの運用コストを抑える目的でGPT-4と並行して進められていたが、効率面で期待に届かず、出資元の米マイクロソフト幹部を失望させたとされる。

SF大作『デューン』に登場する過酷な砂漠の惑星「アラキス」から名を取ったOpenAIの野心的なAIモデルが、日の目を見ることなく開発中止になっていたことが分かりました。
米The Informationの報道によると、OpenAIは昨年11月にChatGPTを公開した後、社内で「Arrakis(アラキス)」と呼ばれる新モデルの開発を進めていました。このモデルは最新の主力モデル「GPT-4」と並行して開発され、ChatGPTのようなサービスをはるかに低コストで動かすことを目指していました。しかし、期待された効率性の基準を達成できず、今年前半にプロジェクトの中止が決まったと報じられています。
1日70万ドルのコストという重荷
大規模AIの運用には膨大なインフラが必要で、MicrosoftやAmazon、Googleなどのクラウド算力に大きく依存しています。一部の試算では、ChatGPTの運用維持だけで1日あたり70万ドル以上のコストがかかっているとされます。
OpenAIは今年1月にMicrosoftとの提携を強化し、Azureの算力基盤を確保しました。しかし報道によると、Arrakisが成果を出せずに中止となったことに対し、Microsoftの一部幹部は失望を隠せなかったといいます。
サム・アルトマンCEOのもと、OpenAIの売上高は2022年の2800万ドルから年内には13億ドル規模へ跳ね上がると見込まれています。しかし、Googleが対抗モデル「Gemini」の投入を控え、来月にはAI安全サミットでの検証も迫るなか、今回の開発中止は急成長を続けるOpenAIにとって珍しい挫折となりました。
なぜ重要か
Arrakisの中止は、生成AIの競争軸が「賢さ」だけでなく「運用の安さ」という現実に直面していることを物語っています。
開発者やビジネスユーザーにとって、推論コストの引き下げは生成AIの大規模導入に直結する重要課題です。GPT-4級の能力をより安く提供できる新アーキテクチャが頓挫したことは、短期的には高性能モデルの価格破壊が簡単には進まない可能性を示しています。
性能目標に達しないプロジェクトを早期に畳んだ判断自体は合理的だと考えられますが、計算リソースを大量に提供しているパートナー企業であるMicrosoftとの関係において、懸念材料となる恐れがあります。Googleとの開発競争が激化するなか、OpenAIが今後どのように推論効率の課題を克服するかが注目されます。
情報源 (1)
- businessinsider.com(新しいタブで開きます)原文businessinsider.com