OpenAIが新推論モデル「o3-pro」公開、ChatGPT ProとAPIで利用可能に
OpenAIは推論モデル「o3-pro」をChatGPT ProおよびTeam向けに公開し、API提供も開始した。o1-proの後継としてWeb検索やコード実行に対応し各種ベンチマークで高得点を記録した一方、画像生成やCanvasには非対応で応答時間が延びている。

難しい数学の問題や複雑なコードのバグを前にしたとき、通常のAIは一瞬でそれらしい適当な答えを作ってしまうことがあります。一方で推論モデルは、答えを出す前にじっくりと考えを巡らせます。
OpenAIは米国時間の火曜日、同社として最も高い性能を持つとする新しい推論AIモデル「o3-pro」を公開しました。従来のo1-proを置き換える位置づけで、ChatGPT ProおよびTeamの契約者はすでに利用可能です。EnterpriseとEdu向けには翌週から展開される予定となっています。また、開発者向けAPIも同日午後に提供が始まりました。
APIの価格は、入力が100万トークンあたり20ドル、出力が100万トークンあたり80ドルに設定されています。100万トークンはおよそ75万語に相当し、長編小説『戦争と平和』を丸ごと上回る分量です。
思考力は大幅向上、ただし待ち時間も増加
OpenAIの変更履歴によると、専門家による評価においてo3-proは、ベースとなるo3を全テスト項目で上回りました。特に科学、教育、プログラミング、ビジネス、文章作成の分野で高い評価を獲得しており、回答の明瞭さや指示への追従性、正確性でも一貫して高得点を記録したといいます。
ベンチマークのスコアでも強さを見せています。OpenAIの社内テストによると、数学的能力を測る「AIME 2024」でGoogleのGemini 2.5 Proを上回り、博士課程レベルの科学知識を問う「GPQA Diamond」ではAnthropicのClaude 4 Opusを凌ぎました。
さらに実用面では、各種ツールとの連携に対応しています。Web検索、ファイル解析、画像の視覚的理解、Pythonコードの実行、メモリ機能によるパーソナライズなどを推論プロセスの中で自律的に行えます。
ただし弱点もあります。o3-proの回答生成は従来のo1-proよりもさらに時間がかかります。また現時点では画像生成に対応しておらず、作業スペース機能のCanvasも利用できません。一時的なチャット機能も技術的な不具合のため一時的に無効化されています。
なぜ重要か
研究者やシニアエンジニア、難度の高いデータ分析を行うプロフェッショナルにとって、o3-proは今すぐ試す価値がある選択肢といえます。日常のメール作成に使うようなツールではなく、間違った答えが許されないクリティカルな場面で頼るべきモデルだからです。
業界全体を見渡すと、AnthropicがClaude 4 Opusを投入し、GoogleがGemini 2.5 Proをアピールするなかで、OpenAIが最高峰の知能競争において主導権を渡さない姿勢が鮮明になりました。AIの進化が「安さと速さ」を追う方向と、「コストと時間をかけてでも正解率を極限まで高める」方向の二極化へ進んでいることがよく分かります。
高度な推論エンジンにPython実行やWeb検索といった外部ツールを持たせたアプローチは極めて堅実だと考えられます。一方で、出力100万トークン80ドルという高価格と、これまで以上に長くなった待ち時間は大きなハードルです。一般的なサービスへの組み込みにはまだ敷居が高く、明確に高いリターンが見込める専門領域での利用に当面は限定されそうです。
情報源 (2)
- @OpenAI(新しいタブで開きます)原文x.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com