OpenAIが「GPT-5.4」公開:100万トークン対応、PC操作で人間超え
OpenAIはChatGPTやAPI向けに「GPT-5.4」を公開しました。100万トークンの文脈長とネイティブなPC操作に対応し、OSWorld検証で人間の平均を上回る75.0%の成功率を記録。思考の途中で指示を修正できる機能も追加され、実務の自動化が一段と現実的になっています。

大規模言語モデルに実務を任せる際、最大の障壁となってきたのが「デスクトップ上のソフトウェアを直接操作できないこと」と「思考が脱線したときに途中で止められないこと」でした。
OpenAIはこの2つの課題に真っ向から挑む新モデル「GPT-5.4」および上位の「GPT-5.4 Pro」をリリースしました。ChatGPT、API、Codex向けに提供が始まっており、100万トークンの巨大なコンテキスト長と、ネイティブなPC操作能力を標準で備えています。
マウスとキーボードを握り、人間の水準を超えた
GPT-5.4の目玉は、エージェントが画面を見て自律的にPCを動かす能力です。
デスクトップ環境でのタスク遂行能力を測る「OSWorld-Verified」ベンチマークにおいて、GPT-5.4は75.0%の成功率を記録しました。前世代GPT-5.2の47.3%を大幅に更新しただけでなく、人間の平均水準である72.4%をも上回っています。
ブラウザ操作を評価するOnline-Mind2Webでも画面認識のみで92.8%を達成。微細なUIを正確に捉えるため、最大1024万画素の高解像度画像入力にも対応しました。
さらに、開発者がリスクに応じて確認ポリシーを設定できる安全機能や、コードを書きながらWeb画面を自動でデバッグするCodex向けPlaywright対話スキルも投入されています。
ツール検索でトークン半減、思考の軌道修正も可能に
実務に耐えうるエージェントにするため、コストと操作性の両面で現実的な改良が入りました。
これまで外部ツールやMCPサーバーを連携する際は、大量のツール定義をプロンプト冒頭に詰め込む必要があり、トークンを激しく浪費していました。GPT-5.4はAPIに「ツール検索」を導入し、軽量な一覧から必要な定義だけを動的に取得する仕組みに改めました。
36台のMCPサーバーを用いたテストでは、精度を維持したまま総トークン消費量を47%削減することに成功しています。
ChatGPTの「GPT-5.4 Thinking」では、思考プロセスの途中で指示を軌道修正できる機能が加わりました。最初に作業計画が提示され、方向性がズレていれば生成を最初からやり直すことなく途中で手直しできます。GPT-5.2比で事実誤認が33%減少し、財務モデリング課題でも87.3%のスコアを出すなど、オフィスワークでの実用性が一段と高まっています。
なぜ重要か
私たちは、GPT-5.4が「画面の向こうのアドバイザー」から「隣でキーボードを叩く同僚」へとAIを進化させる重要な節目になると考えています。
ナレッジワーカーや開発者にとって、100万トークンの文脈長とPC操作の組み合わせは極めて実用的です。Excelでの集計や資料作成、Webからのデータ収集といった複数アプリにまたがる定型業務を、丸ごとエージェントへ委ねられる道が開けました。
特にツール検索と生成中の軌道修正は賢明なアプローチです。単にベンチマークを競うのではなく、API費用の高騰やプロンプトのやり直しといった現場の強い不満をピンポイントで解消しにきています。
業界全体で見れば、Anthropicが先行していたPC操作領域において、OpenAIが人間の平均を破る数字を提示した意味は小さくありません。今後のフロンティアモデル競争は、単なる文章生成能力から、OS上でどれだけ確実に動けるかという実務実行力へ完全にシフトするでしょう。
ただし過信は禁物です。成功率75.0%は人間超えとはいえ、4回に1回は失敗する余地を残しています。企業の基幹システムや重要なデータ処理を完全に自動化するには依然としてリスクが付きまといます。確認ダイアログばかりで人間の負担が増えては本末転倒であり、残り25%の不確実性をどう埋めるかが次の焦点になります。
情報源 (1)
- openai.com(新しいタブで開きます)原文openai.com