OpenAIが契約社員約1000人を採用、思考プロセスを記録しAIにコーディングを学習
OpenAIが過去6か月で中南米や東欧などから約1000人のリモート契約者を雇用したとSemaforが報じた。その約40%はプログラマーで、GitHubからの単純収集とは異なり、思考プロセスやデバッグ手順を英語で段階的に記録させてモデルに学習させている。基礎的なコーディング業務の自動化を大きく加速させる狙いがある。

AIの進化はデータ収集の自動化だけで進んでいるわけではありません。OpenAIの裏側では、膨大な人間の手作業が技術を支えています。
Semaforの報道によると、OpenAIは過去6か月間に中南米や東欧などの地域で約1,000人のリモート契約社員を採用しました。約60%は画像や音声などの一般的なデータアノテーションを担当していますが、残る40%はAIにソフトウェア開発を教えるプログラマーです。
プログラマーに思考プロセスの言語化を要求
これまでOpenAIは、出資元であるMicrosoft傘下のGitHubから取得した公開コードを学習に使ってきました。しかし今回は、単にコードを読ませるのではなく、人間がどう考えてそのコードを書いたかという解説文を集めています。
南米のソフトウェア開発者が受けた5時間の無給テストによると、課題は二段階に分かれていました。まず英語で解法のアプローチや思考手順を詳しく説明し、その後にコードを提出します。
バグを見つけた場合も、直接修正するだけでは不合格になります。何が問題で、なぜそれが起き、どう直すべきかを文章で論理的に説明することが求められました。OpenAIは人間が問題を解決するステップごとの思考データを欲していると、この開発者は証言しています。
少数精鋭を支えるグローバルな外注網
OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は最近、自社の従業員数がわずか375人であることを明かし、高い人材密度を誇示していました。
しかし、この数字に世界中の契約労働者は含まれていません。先週TIMEが報じたケニアでのコンテンツモデレーション業務と同様に、低賃金地域のアウトソーシングが最先端モデルの精度を支えています。元テスラAI責任者のアンドレイ・カルパシー氏が「最もホットな新プログラミング言語は英語だ」と述べた通り、契約プログラマーたちは英語による開発手順をAIに叩き込んでいます。
なぜ重要か
このアプローチは非常に合理的です。既存のコードを丸暗記させるだけでは、AIは複雑なロジックで行き詰まり、嘘のコードを出力しがちでした。人間の思考過程をテキストとして学習させることで、GitHub Copilotのようなツールは単なる入力補完から、自律的にデバッグや設計を行うエージェントへと進化できます。
非エンジニアにとっては、英語や自然言語で指示するだけでWebアプリやゲームを作れる時代が近づく朗報と言えます。一方で、初歩的なコーディング業務を担うジュニアエンジニアにとっては、自らのスキルが自動化の対象になる厳しい現実を突きつけています。
もっとも、完全な自動化への道は平坦ではないと考えられます。2013年頃にすぐ実現すると言われた自動運転が未だに難題を抱えているように、ソフトウェア開発の現場でも例外処理や複雑なシステム連携の壁が立ちはだかるはずです。契約社員が書く基礎的なコードのデータだけで、AIがどこまで本物のエンジニアリングを代替できるかはまだ未知数です。
情報源 (1)
- semafor.com(新しいタブで開きます)原文semafor.com