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業界動向

OpenAIが核融合発電の購入を交渉中:2030年までに5GW目標、アルトマン氏はHelion会長を辞任

公開 拡散指数 60

Axiosの報道によると、OpenAIはサム・アルトマン氏が出資する核融合スタートアップHelion Energyからの電力調達について交渉を進めています。2030年までに5GWの確保を目指しており、利益相反を避けるためアルトマン氏はHelionの取締役会長を退任しました。

OpenAIが核融合発電の購入を交渉中:2030年までに5GW目標、アルトマン氏はHelion会長を辞任
画像:techcrunch.com

AIモデルの巨大化に伴い、業界のボトルネックは計算チップから電力そのものへと移りつつあります。

OpenAIが、同社CEOのサム・アルトマン氏が支援する核融合スタートアップのHelion Energyから電力を調達する方向で交渉を進めていることがAxiosの報道で明らかになりました。協議は初期段階とみられますが、OpenAIがHelionの発電能力の12.5%を優先確保する内容が含まれています。

目標数値は極めて野心的で、2030年までに5ギガワット、2035年までには50ギガワットの供給を目指しています。この取引に伴う利益相反を回避するため、アルトマン氏は10年以上務めたHelionの取締役会長を退任し、一連の交渉からも身を引きました。

桁外れのリアクター配備計画

この報道にある数値が事実であれば、Helionには前例のない規模の量産が求められることになります。

Helionが計画している核融合炉は、1基あたりの発電出力が50メガワットです。OpenAIに割り当てられる5ギガワットが総出力の12.5%に過ぎないとすれば、同社は2030年までに800基、さらに2035年までに7200基のリアクターを建設・稼働させなければ計算が合いません。

Helion側はOpenAIとの直接的な契約交渉については明言を避けており、既存の提携先であるマイクロソフトと製鉄大手ニューコア以外の顧客発表はないとしています。ただし、アルトマン氏の会長退任は認めており、CEOのデイビッド・カートリー氏は両社が将来的に提携するための環境整備であると説明しました。

同社の核融合技術は、一般的な「熱で水を沸かしてタービンを回す」方式とは異なります。砂時計型のリアクター両端から磁場を使ってプラズマを衝突させ、圧縮によって生じた核融合の反作用から磁気を通じて直接電力を取り出す仕組みを採用しています。

現在運用中の試作機「Polaris」は、2月に1億5000万度という超高温プラズマの生成に成功しました。商用化に必要とされる2億度まであと一歩のところに来ており、昨年にはアルトマン氏やソフトバンクなどから4億2500万ドルの資金を調達しています。

原発ベンチャーで繰り返された前哨戦

アルトマン氏がエネルギー企業の役員を退いてOpenAIとの契約の道を開くのは、今回が初めてではありません。

同氏は昨年にも、自身が支援する小型モジュール炉(SMR)企業Okloの会長職を退任しています。この際も、OpenAIをはじめとするAI大手との戦略的提携を可能にすることが理由として挙げられていました。

とはいえ、商業核融合のハードルは依然として極めて高いのが現実です。これまでに投入エネルギーを上回る出力を継続的に達成した民間核融合企業は世界に存在せず、Helionがいくら理論値で先行していても、計画通りの電力供給が保証されているわけではありません。

なぜ重要か

AI開発の主戦場が、アルゴリズムや半導体の確保から、専用発電所の争奪戦へとフェーズを変えたことを如実に示しています。

一般ユーザーや開発者が今すぐ核融合由来のAIサービスを体感できるわけではありません。しかし、将来的なモデルの推論や学習コストを安定させるためには、既存の公共送電網に頼らない超大型電源の確保が不可欠になっているという冷徹な現実を物語っています。

業界全体にとっては、再生可能エネルギーや既存原子力発電の買い占めに続き、未踏の核融合にまで巨大資本が流れ込む呼び水になります。競合するビッグテックも、同様の長期エネルギー契約を前倒しで検討せざるを得なくなるはずです。

アルトマン氏の立ち回りは、自らの投資エコシステムをOpenAIの成長基盤に直結させる極めて巧妙な戦略といえます。一方で、技術的ブレークスルーが前提の計画であるため、Helionの開発が遅延した場合、OpenAIが描く2030年代の巨大インフラ計画そのものが足踏みを強いられるリスクを孕んでいます。

情報源 (3)

  1. [1]
    axios.com(新しいタブで開きます)原文axios.com
  2. [2]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com
  3. [3]
    theverge.com(新しいタブで開きます)報道theverge.com

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