OpenAI、著作権者がAI学習利用を管理できる「Media Manager」開発へ
OpenAIはクリエイターや著作権者が自身の作品をAI学習に含めるか除外するかを指定できる新ツール「Media Manager」を開発中だと発表した。テキストや画像、動画などを横断して識別し、2025年の導入を目指す。業界標準化を狙う取り組みだが、現在は開発段階にある。

生成AIの急速な普及に伴い、クリエイターやメディア企業との著作権をめぐる摩擦は激しさを増しています。作品が無断で学習データに使われているという批判に対し、OpenAIが新たな方針を打ち出しました。
OpenAIは5月7日、データとAIに関するアプローチをまとめた文書を公開し、クリエイターやコンテンツ保有者が自身の作品をAIの学習対象から除外できる新ツール「Media Manager」を開発中だと発表しました。提供開始は2025年を目指しています。
robots.txtの限界を超える仕組み
これまで、ウェブサイト側がAIによるデータ収集を拒否する手段としては、主にrobots.txtプロトコルが使われてきました。OpenAIも昨年夏からAIクローラーに対する制御設定を導入していました。
しかし、この方法には根本的な欠点がありました。多くのイラストレーターやライターは個人サイトを持っておらず、SNSや投稿プラットフォームで作品を発表しています。さらに、第三者による転載や引用、二次創作を通じて拡散されたデータは、robots.txtでは防ぎきれません。
OpenAI自身もこの限界を認めており、Media Managerでは最先端の機械学習技術を活用して、複数のソースにまたがる著作権付きのテキスト、画像、音声、動画を特定し、権利者の意向を反映させる計画です。
あわせて同社は、モデルの訓練データの内訳についても説明しました。有料記事や個人情報を除外した公開ウェブデータ、フィナンシャル・タイムズやSora向けの映像アーカイブといった企業提携による独自データ、そしてフィードバックデータの3つで構成されています。ChatGPT TeamやEnterprise、API経由の企業データは学習に使用しない方針も改めて強調しました。
なぜ重要か
Media Managerの構想は、著作権問題で守勢に立たされていたOpenAIによる巧みな先手と言えますが、実効性には課題も残ります。
クリエイターにとっては、作品が無断で学習されるのを防ぐ公式な手段が得られる点では前進です。ただし、自分の作品であることを証明して登録する手間をクリエイター側に背負わせることになります。もし他社も同様のツールをバラバラに立ち上げれば、クリエイターの管理負担は膨大になります。
業界全体で見れば、OpenAIは法規制で強制される前に、自ら業界標準を作ろうとしています。マルチモーダルな著作権管理システムを構築・運用できるのは巨額の資金力を持つ大手だけであり、オープンソース勢や新興スタートアップにとっては高い参入障壁になりかねません。
そして最大の問題は、導入時期が2025年であるという点です。すでに現在のモデルはウェブ上の膨大なデータを学習し終えています。未来の学習から除外できても、過去にモデルの重みへ取り込まれた影響を消すことはできません。このツールが係争中の訴訟に対する決定打になるかは、まだ不透明です。
情報源 (1)
- openai.com(新しいタブで開きます)原文openai.com