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NVIDIA、動作生成AI「MotionBricks」発表 毎秒1.5万フレームでゲームと人型ロボットを制御

公開 拡散指数 39

NVIDIAなどの研究チームはリアルタイム動作生成フレームワーク「MotionBricks」を発表した。単一モデルで35万種以上の動作スキルに対応し、15,000FPSのスループットと2ミリ秒の低遅延を実現。ゲーム用アニメーション生成と実世界のUnitree G1人型ロボット制御を統合しており、GitHubでプレビュー版コードが公開されている。

NVIDIA、動作生成AI「MotionBricks」発表 毎秒1.5万フレームでゲームと人型ロボットを制御
画像:gigazine.net

大規模な3Aゲームや人型ロボットの歩行制御に関わったことがある人なら、アニメーショングラフの複雑さに頭を抱えた経験があるはずです。

例えば『アサシン クリード』のような大作タイトルでは、15,000以上のアニメーションと5,000ものステート、最大12層に及ぶネスト構造のアニメーションツリーを組み上げてキャラクターを動かしています。少し動作を増やそうとするだけで、膨大なリタグ付けや調整が必要でした。

NVIDIAはこの複雑な仕組みをAIで刷新しようとしています。

NVIDIA、チューリッヒ工科大学、サイモンフレーザー大学、テキサス大学オースティン校の研究チームは6月15日、リアルタイム動作生成フレームワーク「MotionBricks」を発表しました。この成果はACM Transactions on Graphicsに採択され、SIGGRAPH 2026で発表されます。

複雑なアニメーショングラフを「スマートプリミティブ」で置き換える

MotionBricksの最大の特徴は、単一のニューラルバックボーンで35万種以上の動作スキルを扱える点です。

従来の巨大なステートマシンを使う代わりに、研究チームは「スマートプリミティブ」と呼ばれる単位を採用しました。プレイヤーの速度入力、進行方向、スタイル指示、ゲーム内イベントなどをキーフレームの制約に変換し、モデルがその間の動作を補間生成します。

内部的には、まずルートモジュールが必要なフレーム数と身体の重心軌道を予測し、続いてポーズモジュールがトークンを予測、最終的にデコーダーが滑らかな連続動作を出力します。

移動制御では、ゼロショットのプロンプト指定だけで「負傷した歩き方」「ゾンビのような足取り」「スキップ」「斜め移動」などを自然に切り替えられます。キー入力に合わせて実行中に速度や歩行スタイルを連続的に変える「Mixture of Styles」にも対応しています。

剣を拾う、ベンチを飛び越える、ドアを開けるといった物体との相互作用も、キーフレームの条件として渡すだけで生成可能。タスクごとの再トレーニングや個別タグ付けは一切不要です。

UE5から実機の人型ロボット「Unitree G1」まで一気通貫

圧倒的な処理能力も注目点です。

研究チームによると、キーフレーム間の動作生成における遅延はわずか2ミリ秒、スループットは毎秒15,000フレーム(15,000 FPS)に達します。各種データセットの評価指標でも既存の補間手法を一貫して上回りました。

Unreal Engine 5上でアクロバティックなアクションや物体操作を連続実行するデモが公開されていますが、驚くべきはこれがゲーム内にとどまらないことです。

研究チームはMotionBricksを、実世界のUnitree G1人型ロボットの全身制御にもそのまま適用しました。バーチャルキャラクターのアニメーション生成と物理ロボットの制御という、これまで分断されていた2つの領域を単一の枠組みで結びつけています。

現在GitHub上には、Unitree G1の軽量デモと合成トレーニングパイプラインを含むプレビュー版コードが公開されています。ロボット制御フレームワーク「GR00T Whole-Body Control」に完全統合された正式版は、2026年7月頃の公開を目指しているとのことです。

なぜ重要か

私たちは、MotionBricksの最大の功績は「ゲーム開発資産をそのまま人型ロボットの脳に流し込むパイプ」を作ったことにあると考えています。

ゲームスタジオにとっては、長年苦しめられてきた12層のネストステートマシンから解放されるチャンスです。わずか2ミリ秒の低遅延で自然な動作が生成できるなら、オープンワールドのNPCの挙動は一気にリッチになります。

一方のロボット業界にとっても極めて有益です。実世界でのロボット動作データの収集は非常に高コストですが、ゲーム業界には数十年分の高品質なモーションキャプチャデータが眠っています。同じ潜在空間モデルで双方を扱えるなら、ロボットはゲームのモーション資産をそのまま活用して多彩な動きを習得できます。

とはいえ、シミュレータ上で15,000 FPSを出すことと、実世界の凹凸や外乱に耐えることは別問題です。物理空間での安定性をどこまで担保できるかは、7月に予定されているGR00Tとの本格統合の仕上がりを見極める必要があります。

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