NVIDIA、エージェント向けオープンモデル「Nemotron 3 Super」公開 スループット最大5倍
NVIDIAは自律型AIエージェント向けの大規模モデル「Nemotron 3 Super」をオープンソースで公開した。総パラメータ数1200億のうち推論時の活性化は120億に抑え、100万トークンの文脈窓を備える。Mamba層を組み合わせたハイブリッドMoE設計により、スループットを最大5倍に高めた。

Nemotron 3 Superは、NVIDIAが公開した自律型AIエージェント向けのオープンソースモデルです。総パラメータ数1200億のうち、推論時に動くアクティブパラメータは120億に抑えられており、ネイティブで100万トークンの巨大な文脈窓に対応します。
このモデルが狙い撃ちするのは、マルチエージェント運用で直面する文脈の爆発と推論コストの壁です。複数のエージェントが協調する場合、ツールの実行結果や中間思考をやり取りするため、通常のチャットの最大15倍ものトークンが発生します。Nemotron 3 Superは新アーキテクチャの導入により、前世代モデル比でスループットを最大5倍、精度を最大2倍に引き上げました。
実現の仕組み
1200億規模の知能を軽量モデル並みの速度で動かせる背景には、3つの構造的な工夫があります。
主骨格にはMambaとTransformerのハイブリッド構造を採用しました。大半のシーケンス処理を線形計算量でこなすMamba-2層に任せることで、メモリと計算効率を4倍に高めています。一方で、長文内のピンポイントな事実抽出が必要な深さにはTransformerのアテンション層を挟み込み、高い検索精度を維持します。
さらに、独自のLatent MoE技術を導入しました。トークンを専門家エキスパートに割り振る前に低ランクの潜在空間へ圧縮することで、実質1エキスパート分の計算負荷で4つの専門エキスパートを同時に動かせるようにしています。
加えて、複数の後続単語を一度に予測するマルチトークン予測により、推論速度を3倍に高速化しました。NVIDIA Blackwell環境のネイティブNVFP4精度で動作させれば、HopperのFP8比較で精度を落とさず最大4倍の推論速度を叩き出します。
性能とオープン性
性能面では、Artificial Analysisの同規模モデル比較で効率と精度の首位を獲得しました。多段階のリサーチ能力を競うDeepResearch BenchおよびDeepResearch Bench IIで1位を記録したほか、OpenClawエージェントの頭脳を評価するPinchBenchでも85.6パーセントを記録しています。
公開範囲も徹底しており、寛容なライセンスのもとで重みが無償提供されています。10兆トークンを超える事前学習および事後学習のデータセット手法、15種類の強化学習環境のレシピもあわせて公開されました。
試用はbuild.nvidia.comで即座に可能なほか、Hugging FaceでのダウンロードやOpenRouter、Perplexity経由での利用に対応しています。商用向けにはNVIDIA NIMマイクロサービスとしても提供されます。
なぜ重要か
コードベース全体を一括で読み込ませて自律デバッグを行わせたい開発者や、大量の社内文書をまたぐ分析エージェントを構築したいチームにとって、試す価値が非常に高いモデルです。100万トークンを維持しながら目標を見失わない挙動は、実務上の安定性を大きく高めます。
業界の視点で見ると、NVIDIAは高性能なオープンモデルを惜しみなく配りつつ、最新のBlackwellチップで走らせた際に最大の経済合理性が出る設計を敷いています。プロプライエタリなモデルのAPI費用に悩まされていた現場にとって、極めて実用的な代替案が登場したと言えます。
情報源 (2)
- blogs.nvidia.com(新しいタブで開きます)原文blogs.nvidia.com
- developer.nvidia.com(新しいタブで開きます)報道developer.nvidia.com