NVIDIA、エージェント向けオープンモデル「Nemotron 3」発表 Nanoを提供開始
NVIDIA はマルチエージェント AI 向けオープンモデル群「Nemotron 3」を発表した。即日提供の Nano 版はハイブリッド MoE 構成により前世代比でスループットが 4 倍に向上。学習データセットや強化学習ライブラリも同時公開された。

Nemotron 3 は、NVIDIA がマルチエージェント AI システムの構築に向けて開発したオープンモデル群だ。推論コストを大幅に抑えつつ、複数のエージェントが連携して動く高度なワークフローを効率よく処理できるように設計されている。
複数の AI エージェントを協調動作させる開発では、通信オーバーヘッドやコンテキストの逸脱、急激に増大する推論コストが大きな壁となる。Nemotron 3 はハイブリッド潜在 MoE(混合エキスパート)構造を採用し、必要なパラメータのみを動的にアクティブ化することで、高い推論精度を保ちながら実行時のコストを最小限に抑える仕組みだ。
3 つのサイズと MoE アーキテクチャ
モデルはタスク規模に合わせて 3 つのバリエーションが用意されている。
即日提供が開始された Nemotron 3 Nano は、総パラメータ数 300 億に対して、推論時にアクティブ化されるのは最大 30 億パラメータにとどまる。前世代の Nemotron 2 Nano と比較してトークンスループットは最大 4 倍に向上し、推論時に生成される思考トークン量を最大 60% 削減した。100 万トークンの長大コンテキストに対応し、第三者評価機関の Artificial Analysis は同等サイズの中で最高レベルの効率性とオープン性を備えたモデルと評価している。
残る 2 モデルは 2026 年前半のリリースが予定されている。約 1000 億パラメータ(アクティブ 100 億)の Nemotron 3 Super は低遅延が求められる複数エージェント協調向け、約 5000 億パラメータ(アクティブ 500 億)の Nemotron 3 Ultra は高度な調査や戦略立案向けだ。どちらも Blackwell アーキテクチャ上の 4 ビット NVFP4 形式で学習されており、メモリ要件を大幅に抑えている。
データセットと評価レシピも完全公開
今回の発表で特筆すべきは、重みだけでなく学習基盤そのものがオープン化されている点だ。
NVIDIA は 3 兆トークンに及ぶ事前学習・事後学習・強化学習用のデータセットと、エージェントシステムの安全性を検証するテレメトリデータセットを公開した。さらに強化学習環境を提供する NeMo Gym や NeMo RL もオープンソース化され、Unsloth などの主要フレームワークがすでに対応を進めている。
また、ベンチマークの透明性を担保するため、評価ツール NeMo Evaluator とともに完全な評価レシピが公開された。プロンプトや設定値、実行ログがすべて明示されているため、外部の開発者が手元で検証結果をそのまま再現できるようになっている。
Nemotron 3 は LM Studio、llama.cpp、vLLM、SGLang をサポートしており、ローカル環境でもスムーズに動作する。Nano モデルは現在 Hugging Face から直接入手できるほか、OpenRouter、Fireworks、DeepInfra などの推論 API 経由や、NVIDIA NIM マイクロサービスとしても利用可能だ。
なぜ重要か
マルチエージェントシステムの構築や、長文ドキュメントを読み込ませたローカル処理を試したい開発者にとって、Nemotron 3 Nano は今すぐ試す価値がある。実質 30 億パラメータの計算負荷で 100 万トークンを扱えるため、推論コストを気にせずエージェントのループを回すことが可能になる。
業界全体で見ても、モデルの重みだけでなくデータセットや評価手順まで完全に開示した NVIDIA のアプローチは非常に合理的だ。ベンチマークのブラックボックス化が進む競合他社に高い透明性の基準を突きつけつつ、自社の Blackwell エコシステムをオープンソースコミュニティの標準基盤として定着させようとする狙いがうかがえる。
情報源 (2)
- nvidianews.nvidia.com(新しいタブで開きます)原文nvidianews.nvidia.com
- huggingface.co(新しいタブで開きます)報道huggingface.co