テキストから人体動作を生成する「MSFlow」公開 関節の固定制御にも対応
テキストから人体動作を生成するオープンソースモデル「MotionSpaceFlow」が公開された。モデルサイズは約 1.1GB で、一般的な GPU で動作する。最大の看点は、追加学習なしで特定の関節やフレームの位置を固定し、その制限に合わせた動作を自動生成できる点だ。
MotionSpaceFlow(MSFlow)は、テキストの指示文からリアルな 3D 人体動作を生成する軽量なオープンソースモデルだ。自然言語でアニメーションを生成できるだけでなく、特定のフレームで任意の関節位置を絶対座標に固定できるのが大きな特徴となっている。
キャラクターの動きを自然に保ちながら、手足の位置関係を思い通りに制御できる仕組みだ。
何ができるのか
基本的な動作生成では、「左足でハイキックをする」「四つん這いで前進する」「側転をする」といった指示文から滑らかな全身アニメーションを生成できる。
実用面で際立っているのが、推論時の空間制御だ。従来のテキスト駆動型モデルでは、手や足が目当てのオブジェクトからずれたりすり抜けたりする問題が頻発していた。
MSFlow では、射影サンプリングによって特定フレームの関節位置をピン留めできる。例えば 30 フレーム目に右手の位置を特定座標に固定すると、モデルは追加の制御学習なしでその制約を満たしつつ、全身の自然な動きを自動補完する。
関節を直接ピン留めできる仕組み
従来の動作拡散モデルの多くは、オートエンコーダを使って動作データを低次元の潜在空間に圧縮していた。この手法は計算コストを抑えられる半面、時間解像度が落ち、個々のフレームや関節を直接編集することが難しくなるボトルネックを抱えていた。
MSFlow はエンコーダとデコーダを完全に排除し、連続的な動作空間上で直接フル解像度のフローマッチングを行う。
モデル構造には RA-MMDiT を採用している。フレーム間の相対変化を表す増量特徴には因果的アテンションを適用して時系列の整合性を保ち、グローバルな XYZ 座標には双方向アテンションを適用して全身の姿勢バランスを整える。
物理的な 3D 座標を直接予測しているため、サンプリングの途中で指定関節の位置を数式通りに固定することが可能になった。
動作環境とセットアップ
モデルのサイズは Hugging Face 上で約 1.1GB と非常にコンパクトで、一般的なコンシューマー向け GPU で十分に動作する。
GitHub には推論用スクリプトだけでなく、学習コードや評価スクリプト、事前学習済み重みが揃っている。パッケージ管理ツールの uv を使って環境構築を行い、提供されているシェルスクリプトを実行すれば、単一の GPU でキックや歩行などの関節制御デモを試すことができる。
注意点として、LY Corporation のリポジトリには研究プロジェクト用の「一時的な公開」である旨が明記されており、将来的に非公開や読み取り専用へ変更される可能性がある。コード自体は CC0 1.0 で提供されているが、動かすには HumanML3D などの外部データセットを別途配置する必要がある。
なぜ重要か
インディーゲーム開発者や 3D アニメーターにとって、MSFlow は実用的な制作支援ツールになり得る。テキスト任せの生成ではゲーム内の当たり判定やオブジェクト接触に合わせにくかったが、キーフレームの関節を固定できることで、インタラクティブな用途への導入ハードルが一気に下がる。
技術的にも、あえて潜在空間を使わずに生の座標空間でフローマッチングを行うアプローチが、圧縮ノイズを避けつつ直感的な制御性を両立できることを実証した。物理空間での正確さが求められるモーション生成において、今後の有力な設計方針になるとみている。
情報源 (2)
- yu1ut.com(新しいタブで開きます)原文yu1ut.com
- github.com(新しいタブで開きます)報道github.com