Moonshot AI、2.8兆パラメータのオープンモデル「Kimi K3」を発表
Moonshot AIは世界初の3T級オープンモデル「Kimi K3」を発表した。パラメータ数は2.8兆、100万トークンの文脈窓とネイティブな視覚機能を備え、896個中16個のエキスパートを活性化する。長期のコーディングやリサーチ作業に特化し、重みは2026年7月27日に公開予定。

Moonshot AIは、世界初となる3T級のオープンモデル「Kimi K3」を公開しました。パラメータ数は2.8兆に達し、ネイティブな画像認識能力と100万トークンの文脈窓を備え、長期的な自律コーディングや多段階のリサーチ作業をこなす設計になっています。
何ができるのか
K3の最大の強みは、人間の介入を最小限に抑えた長時間の自律作業です。大規模なコードベース内を探索し、ターミナルツールを操作しながら、画面のスクリーンショットを直接参照してゲーム開発やフロントエンドのデバッグを実行できます。
とりわけ際立っているのが、極めて高度なシステム工学の処理能力です。サンドボックス環境での検証において、K3は24時間かけてGPUカーネルのプロファイリングと最適化を行い、GPT 5.6 Sol、GPT 5.5、Opus 4.8を上回り、Claude Fable 5に匹敵する性能を示しました。Moonshot AIの開発チームによると、プロジェクト終盤におけるカーネル最適化の大部分は、初期バージョンのK3自身に任されていたといいます。
さらに、独自のGPUコンパイラ「MiniTriton」をゼロから構築し、nanoGPTの学習パイプラインを完全収束させる実証も成功させています。48時間の自律走行実験では、オープンソースのEDAツールを用いて45nmプロセスの推論チップを設計・検証し、シミュレーション上で毎秒8700トークン以上の処理能力を記録しました。ベンチマーク指標であるAA Intelligence Indexでも57点を記録し、クローズドのFable 5(60点)やSol(59点)に迫っています。
アーキテクチャと動作環境
K3は、コンテキスト長とモデルの深層間での情報伝達を効率化するKimi Delta Attention(KDA)とAttention Residuals(AttnRes)を基盤としています。MoEアーキテクチャにはStable LatentMoEを採用し、896個のエキスパートから16個を動的に活性化します。これにより、前世代のK2と比べて約2.5倍のスケーリング効率向上を達成しました。
一方で、この規模のモデルを運用するためのハードウェア要件は極めて高水準です。SFT段階から量子化を前提に学習されており、重みはMXFP4、活性化関数はMXFP8を採用しています。エキスパート並列処理の通信帯域を確保するため、公式には64基以上のアクセラレータを備えたスーパーノード環境での稼働が推奨されています。
モデルの重み一式は2026年7月27日に公開予定で、技術レポートやvLLM対応のキャッシュコードも同時に提供されます。
すぐに試したい開発者向けには、すでにkimi.com、Kimi Work 3.1.0、CLIツールのKimi Code、そしてAPI経由でアクセスが可能です。API利用料はキャッシュヒット時が100万トークンあたり0.30ドル、通常入力が3.00ドル、出力が15.00ドルに設定されています。
なぜ重要か
K3の登場は、オープンソースと最前線の商用モデルとの間にある実力差が、わずか1世代サイクル程度にまで縮小したことを示しています。これまでオープンモデルが苦手としていたコンパイラ開発や低レイヤーの最適化において、最高峰の商用システムと競合できる水準に達しました。
一般の開発者にとって2.8兆パラメータのモデルを自前で動かすのは現実的ではなく、まずはAPIを通じた検証が賢明です。しかし、十分な計算資源を持つエンタープライズにとって、7月27日の重み公開は、データの外部送信を避けつつ最先端水準の知能を自社インフラに組み込める極めて重要な選択肢となります。
情報源 (2)
- kimi.com(新しいタブで開きます)原文kimi.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com