Mistralが「Mistral Small 4」公開:推論・マルチモーダル・コードを1つに統合
MistralはApache 2.0でオープンソース化した「Mistral Small 4」を発表した。総パラメータ119B、トークンあたり6B稼働のMoE構造で、推論・画像認識・コーディングを1つのモデルに集約。256kコンテキストに対応し、前世代と比べてレイテンシを40%削減した。

Mistral Small 4は、これまで用途別に分かれていた論理推論、画像理解、エージェント型コーディングを1つに統合したオープンソースモデルです。推論特化のMagistral、マルチモーダルのPixtral、コード特化のDevstralを使い分ける必要がなくなり、1つのモデルで一括して扱えるようになりました。
ライセンスはApache 2.0で、256kトークンの広大なコンテキストウィンドウを備えています。
仕組みと特徴:6Bのアクティブパラメータ
軽量さと高機能を両立する鍵は、128個のエキスパートを備えたMixture of Experts(MoE)構造にあります。総パラメータ数は119Bですが、トークンごとに稼働するエキスパートは4個に抑えられており、アクティブパラメータはわずか6B(埋め込み層を含めても8B)です。
さらに、推論の深さを切り替えるreasoning_effortパラメータを搭載しています。通常タスクではnoneに設定することでMistral Small 3.2並みの高速な応答が得られ、難解な数学やコードの課題ではhighにしてステップごとの深い推論を実行させることができます。
前世代のMistral Small 3と比較すると、レイテンシ優先設定で処理時間が40%短縮され、スループット優先設定では秒間リクエスト数が3倍に向上しました。
実測値で際立つのが出力トークンの少なさです。AA LCRベンチマークにおいて、Small 4はわずか1.6K文字の出力で0.72のスコアを達成しました。同水準の精度を出すために5.8K〜6.1K文字を消費するQwen系モデルと比べ、3.5〜4倍も短くまとまります。LiveCodeBenchでもGPT-OSS 120Bを上回る精度を出しつつ、出力文字数を20%削減しています。
動作要件と利用方法
総パラメータが119Bあるため、自前環境でホストする場合はエンタープライズ向けGPUが必要です。最小構成として4枚のNVIDIA HGX H100、2枚のHGX H200、または1台のDGX B200が求められます。推奨構成は4枚のH100、4枚のH200、または2台のB200です。
重みはHugging Faceで公開されており、vLLM、llama.cpp、SGLang、Transformersなどの主要フレームワークに対応しています。手軽に試したい場合はMistral APIやAI Studioで利用できるほか、build.nvidia.comで無料プロトタイプを動かしたり、本番向けにNVIDIA NIMコンテナとして導入することも可能です。
なぜ重要か
マルチモーダル、コーディング、論理推論をこなすエージェントを作ろうとすると、従来は複数モデル間のルーティング設計が不可欠でした。Small 4はその複雑さを解消し、単一モデルでタスクに応じて推論コストを柔軟に調整できる点が大きな強みです。
無駄に長い思考プロセスを出力させず、少ないトークンで高い正解率を出す設計思想は非常に実用的です。APIやエンタープライズクラスタで大量のクエリをさばく現場にとって、レスポンス速度の向上と運用コスト削減を同時に狙える頼もしい選択肢になります。
情報源 (1)
- mistral.ai(新しいタブで開きます)原文mistral.ai