MiniMaxが推論モデル「M1」をオープンソース化、100万トークン対応
MiniMaxは100万トークンの文脈窓と8万トークンの推論出力に対応したオープンソース推論モデル「MiniMax-M1」を公開しました。独自のハイブリッドアテンションと強化学習手法により、計算コストをDeepSeek R1の約30%に圧縮。強化学習フェーズの計算費用は約53万ドルに抑えられました。

MiniMax-M1は、100万トークンの巨大なコンテキストウィンドウと8万トークンの推論出力を兼ね備えたオープンソースの推論モデルです。大規模なコードリポジトリや膨大な技術仕様書を丸ごと読み込ませ、多段階の深い推論を実行したいエンジニアにとって頼れるツールが登場しました。
何ができるのか
開発向けタスクにおいて、M1は「M1-40k」と「M1-80k」の2つのバリアントが用意されています。ソフトウェア検証ベンチマークのSWE-benchではそれぞれ55.6%と56.0%を記録し、DeepSeek-R1-0528の57.6%に迫りつつ、他のオープンモデルを大きく引き離しました。
真骨頂は長文コンテキストの処理能力です。100万トークンの窓により、長文理解タスクにおいてOpenAI o3やClaude 4 Opusを凌駕して世界2位となり、Googleの閉源モデルGemini 2.5 Proの直後に位置しています。
エージェントのツール利用性能を測るTAU-benchでも、M1-40kはオープンウェイト首位を獲得し、Gemini 2.5 Proをも上回りました。思考リソースを8万トークンまで拡張したM1-80kのほうがほとんどのテストで高いスコアを出しており、考える時間を与えるほど難問の正解率が上がることが実証されています。
計算コストを70%削った仕組み
長大な文脈を保持した推論はGPUリソースを激しく消費しますが、M1はアーキテクチャの工夫でこれをクリアしました。
1つ目はLightning Attentionを取り入れた独自のハイブリッドアテンションです。8万トークンの深層推論を行う際、DeepSeek R1の約30%の計算量で処理を完了できるため、計算コストをおよそ70%節約できます。
2つ目は自研の強化学習アルゴリズム「CISPO」です。従来のトークン更新ではなく重要度サンプリングの重みをクリッピングする手法で、AIME数学テストにおいて他アルゴリズムの2倍の収束速度を叩き出しました。ByteDanceのDAPOや、DeepSeek初期に使われたGRPOを明確に上回っています。
この2つの技術により、強化学習フェーズ全体の学習は512基のH800を3週間稼働させるだけで完了しました。GPUレンタル費用はわずか53万4700ドルと、当初見積もりより一桁低いコストで収まりました。
どこで試せるか
モデルの重みと詳細な技術レポートは、すでにHugging FaceとGitHub上で完全公開されています。
推論環境としては、vLLMおよびTransformerが標準で対応しており、SGLangとの連携も現在進行中です。
自分でサーバーを用意しなくても、MiniMaxの公式ウェブサイトとアプリで無制限の無料利用が可能です。
API料金も非常に戦略的です。20万トークン以下の入力は100万トークンあたり0.4ドル、出力は2.2ドルとDeepSeek-R1より安く設定されています。20万〜100万トークンの帯域も入力1.3ドル、出力2.2ドルで利用可能です。
なぜ重要か
膨大なコードベースの改修や複雑な自律エージェントを構築する開発者にとって、100万トークンの文脈と深い推論をオープンソースで両立させたM1は待望の存在です。トークン制限で詰まっていたワークフローがあるなら、今すぐ試す価値があります。
私たちは、M1が推論モデルの開発において「力任せの計算機競争」から「アルゴリズムの知恵」への転換を決定づけたと見ています。わずか53万ドルの学習費で大手閉源モデルに肉薄した事実は、オープンソースAIの効率基準を大きく塗り替えるはずです。
情報源 (2)
- venturebeat.com(新しいタブで開きます)原文venturebeat.com
- minimax.io(新しいタブで開きます)報道minimax.io