MiniMax、実務特化モデル「M2.5」を発表:1時間1ドルの超低コストで高速稼働
MiniMaxはコーディングやオフィス業務に特化した新モデル「M2.5」を発表した。大規模な強化学習によりSWE-Bench Verifiedで80.2%を記録し、毎秒最大100トークンの速度を実現。1時間の連続稼働がわずか1ドルという低コストを両立し、MiniMax Agentにも展開された。
AIエージェントを自律的に動かす際、最大の障壁となってきたのは知能そのものよりも莫大なAPIコストと応答速度でした。
中国のAIスタートアップMiniMaxは最新モデル「MiniMax-M2.5」を発表しました。現実世界の生産性向上に特化したこのモデルは、最先端の性能を持ちながら「従量課金を気にせず使える価格」を実現した点が特徴です。
ベンチマークにおいて、M2.5はSWE-Bench Verifiedで80.2%、Multi-SWE-Benchで51.3%、BrowseCompで76.3%を記録しました。さらにSWE-Bench Verifiedの完了時間は平均22.8分で、Claude Opus 4.6の22.9分と同等です。1タスクあたりの総コストはOpus 4.6の約10分の1にとどまります。
仕様書から設計するコーディング力と高速な推論
M2.5は、Go、Rust、TypeScript、Pythonなど10種類以上の言語と、20万件を超える実際の開発環境で訓練されました。
興味深い点として、訓練の過程で「仕様書(Spec)を自発的に作成する傾向」が現れたといいます。いきなりコードを書き始めるのではなく、熟練したソフトウェアアーキテクトのように要件、構造、UIを整理した上で実装に移ります。DroidやOpenCodeといったエージェント基盤でのテストでもOpus 4.6をわずかに上回るスコアを示しました。
また、ツール利用や検索でも無駄な試行が減っています。独自のRISEテストやBrowseCompにおいて、前世代のM2.1と比べて約20%少ないやり取り回数で正解に到達しました。オフィスワーク分野でも金融や法律の専門家とデータを構築し、Excelの財務モデリングや資料作成の社内評価で59.0%の勝率を収めています。
100 TPSの低価格モデル、4インスタンス常時稼働で年1万ドル
提供形態は、毎秒100トークンを出力する「M2.5-Lightning」と、毎秒50トークンの「M2.5」の2種類です。機能差はなく、速度と価格のみが異なります。
M2.5-Lightningの価格は入力100万トークンあたり0.3ドル、出力100万トークンあたり2.4ドルです。100 TPSで1時間連続稼働させた場合のコストはちょうど1ドルです。
50 TPSのM2.5はその半額で利用できます。年間を通して4つのインスタンスを24時間稼働させ続けても約1万ドルで収まる計算です。MiniMaxによると、出力コスト換算でOpusやGemini 3 Pro、GPT-5の10分の1から20分の1の水準となります。
この背景には強化学習フレームワーク「Forge」の開発があります。エージェントと学習エンジンを疎結合にし、ツリー状のサンプル統合で学習を約40倍高速化しました。さらにMoEの安定化技術やプロセスマネーモデル(PRM)を組み合わせることで長文コンテキストの推論精度を高めています。
M2.5はすでに同社の「MiniMax Agent」に組み込まれて提供されています。
なぜ重要か
これまで自律型エージェントの本格導入を阻んできたのは、タスク1回で数百万トークンを消費する際のコスト負担でした。特に中小企業や個人開発者にとって、最高峰モデルのAPIを常時回し続けるのは非現実的でした。
M2.5の意義は、Claudeのフラッグシップ級のエージェント能力を、圧倒的な低価格と毎秒100トークンの高スループットで提供した点にあります。自律型のコードレビューシステムや市場調査ボットなど、継続的に稼働させる用途においてコスト構造を根本から変える可能性があります。
汎用チャットの知名度争いから距離を置き、ビジネスの自動化に不可欠な「実行速度とコスト効率」に焦点を絞ったアプローチは極めて現実的で賢明に見えます。今後、競合他社にもAPI価格の引き下げ圧力がかかるはずです。
もちろん、ベンチマーク上の優秀さが実際の独自コードベースや業務フローでどこまで通用するかは見極める必要があります。それでも、トークン消費の激しいエージェント開発を行っているエンジニアなら、今すぐ試す価値が十分にあります。
情報源 (1)
- minimax.io(新しいタブで開きます)原文minimax.io