Midjourney、競合Stability AIの全社員を無期限BAN データ収集による障害を理由に
Midjourneyは画像生成AIの競合であるStability AIの全従業員アカウントを無期限で利用停止にしたと発表した。3月2日に起きた24時間のサービス障害を調査したところ、Stability AIの担当者がプロンプトと画像データの大量取得を試みていたことが判明。サーバー停止を招く過剰なスクレイピングを行った企業は全社員アクセス禁止にする新方針も打ち出した。

他人の作品を無断で集めて成長したAI企業が、自社のデータを集められた瞬間に激怒するという、強烈な皮肉が起きました。
画像生成AI大手のMidjourneyは3月6日、競合であるStability AIの全従業員アカウントを無期限で利用停止にすると発表しました。公式Discord上で告知され、コミュニティ有識者のNick St. Pierre氏がSNS上で拡散したことで明るみに出ました。
深夜のアクセス集中と24時間のダウン
トラブルの引き金となったのは、3月2日の深夜に発生した大規模なシステム障害でした。ボットネットを思わせる異常なアクセスが殺到し、Midjourneyの画像生成サービスは約24時間にわたって完全に停止する事態に陥りました。
調査を進めたMidjourneyは、複数の有料アカウントを通じてプロンプトと生成画像のペアを大量にスクレイピングしていた人物が、Stability AIのデータチームの従業員であることを突き止めました。
プロンプトと画像データの組み合わせは、競合モデルのトレーニングや微調整を行う上で喉から手が出るほど欲しいデータです。これに激怒したMidjourneyは当該従業員だけでなく全社員のBANを決定し、過剰な自動化でサービス停止を招いた企業は全社員アクセス禁止にするという新方針を打ち出しました。
「他人の作品は集めるが、自社データは渡さない」皮肉
この処分が報じられると、業界内外から冷ややかな視線が注がれました。海外メディアThe Mary Sueの記者Siobhan Ball氏は、ネット上の画像を無許可で集めてモデルを作ったMidjourneyが自社データを取られて怒っている姿を「世界で一番小さなバイオリンを鳴らしてやろう」と痛烈に皮肉りました。
クリエイター側からも怒りの声が上がっています。アーティストのJingna Zhang氏は、自分の名前がMidjourney内で2万回以上もプロンプトとして使われていたことに触れ、人生をかけた作品が商業スロットマシンのエサに成り下がった屈辱は言葉にできないと語っています。
有料サブスクリプションで人間アーティストの作品から利益を得ておきながら、競合にデータを取られた途端に連座制で締め出す姿勢は、ダブルスタンダードだと批判されても仕方がありません。
なぜ重要か
日常的にMidjourneyを仕事で使っているクリエイターにとって、今回の件はプラットフォーム依存の危うさを浮き彫りにしました。外部からの無謀なスクレイピングひとつで丸一日仕事が止まってしまう脆さは、業務インフラとして大きな課題です。
業界全体で見れば、AI企業間のデータ争奪戦がなりふり構わないレベルに達していることを示しています。高品質なプロンプトと画像のセットはモデル改良の要であり、競合のサービスから直接吸い上げようとした背景には、学習データ不足への強い焦りが見え隠れします。
私たちは、サーバーを防衛するためにアクセスを遮断したMidjourneyの技術的判断自体は理解できるものの、その倫理的な主張には全く説得力がないと考えます。他者の権利を軽視して築いたサービスが自らの権利だけを過剰に守ろうとする姿勢は、今後の著作権訴訟や社会的信用の面で、業界全体に大きな影を落とすことになりそうです。
情報源 (1)
- arstechnica.com(新しいタブで開きます)原文arstechnica.com