マイクロソフトが MagenticLite 公開、小型モデルでブラウザと端末内操作を連携
マイクロソフトは小型モデル向けのエージェントアプリ MagenticLite を公開しました。14B の調整モデル MagenticBrain とブラウザ操作用モデル Fara1.5 を組み合わせ、ブラウザとローカル環境を跨ぐ処理を低コストかつ安全に実行します。

ローカルのファイル操作とブラウザ作業を AI に任せようとすると、これまでは巨大なクラウドモデルを使うのが当たり前でした。しかし、推論コストやプライバシーを考えると、できれば端末内で完結させたいところです。
Microsoft Research の AI Frontiers チームは 5 月 21 日、軽量モデル向けに最適化された実験的エージェントアプリ「MagenticLite」を発表しました。従来の Magentic-UI を刷新したもので、ブラウザとローカル環境をまたぐ一連の作業を軽量モデルだけで実行します。
14B の頭脳とブラウザ操作専門モデルの連携
このシステムは、役割の異なる 2 つの特化型モデルが連携して動きます。
全体の統括役を務めるのは、14B パラメータのオーケストレーションモデル「MagenticBrain」です。Qwen 3 14B をベースに微調されており、曖昧な指示を具体的な手順に落とし込み、必要に応じてコードを書いたり、後述の専門モデルにブラウザ操作を委譲したりします。
Web 画面の操作を担当するのは、Qwen 3.5 ベースの「Fara1.5」シリーズです。4B、9B、27B の 3 サイズが用意され、普段使いには 9B が推奨されています。
実 Web サイトの 300 タスクで構成される Online-Mind2Web ベンチマークにおいて、Fara1.5 は同規模クラスで首位のスコアを獲得し、昨年 11 月の Fara-7B から性能をほぼ倍増させました。27B 版のスコアは 90% を超えています。
小型モデルの弱点を補う実行ハーネス
小型モデルはコンテキストが長くなると精度が落ちやすいという弱点があります。MagenticLite では、実行基盤となる「Harness」が文脈を能動的に要約・整理し、各ステップで必要な情報だけをモデルに渡す仕組みを取り入れました。
安全面では、QEMU ベースのオープンソースサンドボックス「Quicksand」内でブラウザやコードを実行し、ホスト環境から隔離しています。決済や認証などの重要アクションではユーザーの明示的な承認を求める設計ですが、日常的なフォーム入力が止まらないよう判定基準が見直されました。
なぜ重要か
私たちは、この取り組みがオンデバイス型エージェントの現実的な解を示していると考えています。ローカルファイルやログイン情報を扱う作業をクラウドに預けることには強い心理的抵抗があり、端末内で完結する軽量モデルへの需要は非常に高いためです。
現状はまだ研究段階の実験プロジェクトであり、一般ユーザーがすぐに日常業務を任せられる完成度ではありません。しかし、開発者にとっては、14B と 9B という現実的なモデルサイズで実用的なエージェント環境を組むための強力な設計指針になります。
業界全体にとっても、巨大モデルの力技に頼るのではなく、適切なタスク委譲とコンテキスト管理を行えば小型モデルでも高度なタスクをこなせるという実証は、今後の端側 AI 開発の流れを大きく後押しするはずです。
情報源 (1)
- microsoft.com(新しいタブで開きます)原文microsoft.com