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業界動向

マイクロソフト、Officeアプリで自社製AIへ移行 OpenAI外しでコスト削減

公開 拡散指数 60

報道によると、米マイクロソフトはコスト削減のため、ExcelやOutlookでOpenAIやAnthropicのモデルから自社製「MAI」モデルへの置き換えを始めた。AI責任者のスレイマン氏はAnthropicのコストを最終的にゼロにしたいと明言。現状は週に数万件のプロンプトを処理する小規模な移行にとどまる。

マイクロソフト、Officeアプリで自社製AIへ移行 OpenAI外しでコスト削減
画像:siliconangle.com

巨大IT企業といえども、AIの運用コストには頭を抱えています。

Microsoftはこれまで、ExcelやOutlookといったOfficeアプリのCopilot機能に、OpenAIやAnthropicの最上位モデルを大々的に活用してきました。しかし裏を返せば、ユーザーがプロンプトを入力するたびに、多額のトークン利用料が外部へ流出していたことになります。

同社はいま、この高額な請求書を削減するため、自社製モデルへの切り替えを静かに進めています。

高額なAnthropicからの脱却

Bloombergの報道によると、MicrosoftはExcelやOutlook、Wordなどの主要アプリにおいて、従来のOpenAIやAnthropicのモデルを、自社開発の「MAI(Microsoft AI)」モデル群へ順次置き換えています。

事情に詳しい関係者によれば、現在すでに毎週数万件のプロンプトがMAIによって処理されているといいます。Copilotが毎週処理する数百万件規模のリクエストから見ればまだ一部に過ぎませんが、自社製へのシフトは確実に始まっています。

最大の動機はコストカットです。Microsoft AI部門トップのMustafa Suleyman氏は先月、Anthropicは非常に高価であり、同社へ支払う巨額のコストを段階的に減らし、最終的には完全にゼロにすることが目標だと明言しました。

価格差は歴然です。AnthropicのFable 5は入力10ドル、出力50ドル(100万トークンあたり)と高額です。OpenAIのGPT-5.5は入力5ドル、出力30ドルと比較的安く、Microsoftは提携による割引も受けていますが、規模が拡大するにつれて総額は膨らむ一方です。さらに、OpenAIとの独占的パートナーシップ契約も2032年には期限を迎えます。

実用性重視の自社製「MAI」モデル群

外部依存から抜け出すため、同社は前月のBuildカンファレンスで7種類の新MAIモデルを発表しました。

その中核となる推論モデル「MAI-Thinking 1」は、350億のアクティブパラメータと256kのコンテキストウィンドウを備えた中型モデルです。低コストを売りにしながら、ブラインドテストではAnthropicのClaude Opus 4.6に匹敵するコーディング性能を示したとされています。

Microsoftは自社モデルがフロンティアモデルほどの最高峰ではないことを認めつつも、日々の事務処理には十分な水準だと判断しています。シリコンバレーでは今年前半の熱狂が去り、Amazon、Meta、Uber、Accentureなどが一斉にAI費用の削減に動いています。一部の米国企業は、セキュリティ上の懸念を承知の上で、100万入力あたり43.5セントという破格の中国DeepSeek製V4-Proを採用し始めているほどです。

なぜ重要か

一般ユーザーやオフィスワーカーにとって、表の集計やメールの下書きといった定型業務では、モデルが切り替わっても違和感を覚える場面は少ないはずです。ただ、高度な論理展開や複雑な関数処理を任せた際に、自社製モデルがフロンティア並みの精度を維持できるかは注意深く見守る必要があります。

業界全体から見れば、最大の顧客であり出資者でもあるMicrosoftが、外部APIへの支払いを自ら絞り始めた事実は重い意味を持ちます。特に高価格帯を維持してきたAnthropicのような独立系AIベンダーは、巨額のモデル開発費を回収するためのビジネスモデルを根本から見直さざるを得なくなります。

私たちは、Microsoftのこの動きを極めて合理的だと考えています。他社の高額な知能にマージンを乗せて売るだけでは、Copilotの利益率はいつまでも改善しません。自社製モデルによる内製化を進めることで、2032年の提携終了を見据えた防壁を築きつつあります。一方で、コスト削減を優先しすぎてOfficeの出力品質が少しでも低下すれば、最も大切な企業ブランドを損なうリスクも孕んでいます。

情報源 (3)

  1. [1]
    bloomberg.com(新しいタブで開きます)原文bloomberg.com
  2. [2]
    siliconangle.com(新しいタブで開きます)報道siliconangle.com
  3. [3]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com

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