本文へスキップ
IFAI

業界動向

マイクロソフト、25億ドル投じ新組織「Frontier Company」設立 専門家6000人を顧客先へ派遣

公開 拡散指数 41

米Microsoftは企業のAI導入を支援する新組織「Microsoft Frontier Company」を設立し、25億ドルを投じると発表した。6000人の専門家を顧客企業に常駐させてシステムを共同構築し、企業の機密データをモデルの学習に使わない方針を徹底する。

マイクロソフト、25億ドル投じ新組織「Frontier Company」設立 専門家6000人を顧客先へ派遣
画像:blogs.microsoft.com

大規模言語モデルのAPIを契約したものの、社内に使いこなせる人材がおらず、投資対効果を証明できないまま立ち往生する企業が後を絶ちません。

米Microsoftは7月2日、AIの現場実装を担う新事業組織「Microsoft Frontier Company」の設立を発表しました。同社は25億ドルを投じ、6000人の業界およびエンジニアリングの専門家を世界中の顧客企業に常駐させ、AIシステムの共同設計と運用を推進します。社長には同社で Americas やアジア地域の変革を率いてきた Rodrigo Kede Lima 氏が就任します。

現場常駐型エンジニアリングをさらに拡大

近年シリコンバレーでは、エンジニアを顧客先に常駐させる Forward Deployed Engineering(FDE)と呼ばれる手法が注目されています。Frontier Company はこれをさらに推し進め、単なる開発支援にとどまらず、ROIの算出や具体的な業績目標の達成までを評価軸に据えます。

すでにロンドン証券取引所グループ(LSEG)、Land O'Lakes、Unilever、Novo Nordisk などの大手企業が先行導入しています。LSEG では専門家チームが「LSEG Workspace」にAIを直接組み込み、金融の構造化・非構造化データを自然言語で横断検索できる環境を構築しました。

グローバル展開にあたっては、アクセンチュア、キャップジェミニ、EY、KPMG、PwC などの主要なシステムインテグレーターとも緊密に連携します。

顧客IPの保護とマルチモデル環境を確約

大企業がAI導入を躊躇する最大の理由は、自社の専有データやノウハウが基盤モデルの学習に流用されるリスクと、特定ベンダーへの囲い込みです。

Microsoft は、顧客のデータや知的財産を汎用モデルの学習には絶対に使用しない原則を明確にしました。Satya Nadella 氏も最近、導入先企業の知性を食い物にするようなAIの未来は社会的に許容されないと発言しています。

同時に、同社はオープンなマルチモデルプラットフォームを採用しました。顧客は OpenAI に限らず、Anthropic やオープンソース、特定業界向けのファインチューニングモデルなどを、業務シナリオに合わせて自由に選択できます。

なぜ重要か

私たちは、この動きが企業向けAI市場の競争ルールが変わったことを示していると考えています。モデルの性能やベンチマークの数値を競うフェーズは終わり、顧客企業にいかに具体的な利益やコスト削減をもたらすかが問われる段階に入りました。

自社内に高度なAIエンジニアを持たない大企業にとって、25億ドルの投資と6000人の専門家を伴うこの支援体制は魅力的な選択肢です。ただし、これほど手厚い常駐支援は莫大なコストを伴うため、現時点で恩恵を受けられるのはグローバル大手企業に限られると見られます。

競合視点で見れば、Palantir が得意としてきた常駐型ビジネスモデルに真っ向から挑む形です。Anthropic など他社モデルも許容することでロックインへの警戒を解きつつ、企業の基幹業務を最終的に自社インフラに深く定着させる巧みな囲い込み戦略と言えます。

情報源 (1)

  1. [1]
    blogs.microsoft.com(新しいタブで開きます)原文blogs.microsoft.com

毎日のAIピックアップ