マイクロソフト、GPT-4活用の「Security Copilot」発表 サイバー防御をAIの速度へ
マイクロソフトはセキュリティ特化型AIアシスタント「Microsoft Security Copilot」を発表した。OpenAIのGPT-4と独自の脅威インテリジェンスを統合し、自然言語でのインシデント調査や脅威分析を支援する。最大の狙いは世界で340万人規模に及ぶセキュリティ人材不足の解消だ。ただしAI出力に誤りが含まれる可能性もあり、現場のフィードバックによる継続的改善を前提とする。
サイバーセキュリティの現場は圧倒的な劣勢に置かれています。攻撃者は無数のノイズの中に潜み、守る側は世界で約340万人とも言われる深刻な人材不足に直面しています。
マイクロソフトは3月28日のイベント「Microsoft Secure」にて、生成AIを活用した防御支援ツール「Microsoft Security Copilot」を発表しました。OpenAIのGPT-4とマイクロソフト独自開発のセキュリティ特化型モデルを組み合わせています。
毎日65兆件のシグナルを活用する防御システム
Security CopilotはAzureのクラウド基盤上で動作し、GPT-4の言語処理能力にセキュリティ専用のトレーニングを掛け合わせています。
最大の強みはデータ基盤です。マイクロソフトが日々検知している65兆件以上の脅威インテリジェンスを取り込み、最新の攻撃手口を学習させています。
セキュリティ担当者は自然言語でプロンプトを入力するだけで、インシデントの調査や脅威ハンティングを進めることができます。
従来であれば数時間から数日かかっていたログの突き合わせやインシデント対応が、わずか数分で手順化され、経営層向けの報告書まで要約されます。
マイクロソフトはAIによる誤答の可能性も認めており、ツール内でユーザーがフィードバックを送ることで回答精度を高めるクローズドループ学習機構を採用しました。
企業の機密データがOpenAIの基底モデルの学習に再利用されることはなく、自社環境内でのみ安全に保護されるとしています。
なぜ重要か
ユーザーとなる企業のセキュリティ担当者にとって、初動対応のスピードを劇的に引き上げられる価値は非常に大きいです。特に専門家が不足している現場では、ジュニア層が的確な調査手順を学ぶツールとしても機能します。
業界全体から見ると、マイクロソフトの持つ圧倒的なテレメトリデータが他社への高い参入障壁となります。毎日65兆件のシグナルとLLMの組み合わせは、純粋なソフトウェアベンダーが容易に模倣できるものではありません。
マイクロソフトの立ち回りは非常に巧みです。防御をAIに丸投げする自律型ではなく、あくまで人間の意思決定を助ける「Copilot」に徹することで、誤動作時のリスクを抑えています。ただし、セキュリティにおけるハルシネーションは致命的です。AIが出した要約を人間が過信せず、どこまで厳密にファクトチェックできる運用を組めるかが成否を分けそうです。
情報源 (1)
- blogs.microsoft.com(新しいタブで開きます)原文blogs.microsoft.com