Microsoft Edgeに小型モデル「Phi-4-mini」内蔵、開発者向けAI APIを提供
MicrosoftはのBuild 2025で、Edgeブラウザに小型モデル「Phi-4-mini」を直接組み込み、実験的なAI API群の提供を開始した。開発者はサーバーを介さずブラウザ上で要約や文章生成を低コストかつ安全に実行できる。さらにPDFの丸ごと翻訳機能やCopilotチャットの拡張も発表された。

ウェブ開発者が自前のアプリや拡張機能にAIを組み込む際、これまではクラウドAPIの従量課金やデータ送信に伴うプライバシーの懸念がつきまとっていました。マイクロソフトはそのハードルをブラウザ側で取り払おうとしています。
開発者向けカンファレンス「Build 2025」において、Microsoft Edgeのブラウザ内に同社の小型言語モデル「Phi-4-mini」を直接統合し、開発者向けの実験的AI APIを提供開始したと発表しました。
ブラウザに小型モデルを内蔵、ローカル処理を開放
現在、EdgeのCanaryおよびDevチャネルで利用できるこの新しいAI API群は、端末のEdge内部で動作するPhi-4-miniを直接呼び出せるのが最大の特徴です。
モデルに対して直接指示を出せる「Prompt API」や、テキストの生成・要約・推敲を行う「Writing Assistance APIs」が用意されており、今後はテキスト翻訳を行う「Translator API」も追加される予定です。クラウドを介さずにローカルで処理できるため、インフラ費用の削減とプライバシーの向上が見込めます。
また一般向け機能として、PDF文書全体のレイアウトや文脈を維持したまま別言語へ丸ごと翻訳できる「PDF翻訳機能」もCanaryチャネルに投入され、近く一般提供される見通しです。
Copilotのエージェント統合と、DeepSeek等へのデータ流出防止
法人向けの「Edge for Business」では、業務効率化と統制機能の強化が図られています。
6月初旬には、Microsoft 365 Copilotのエージェント機能がEdgeのサイドバーから呼び出せるようになります。営業担当者向けのエージェントが案件の追跡やインサイトの提示をサイドバー上で行うため、タブを移動する手間が省けます。加えて、ウェブ版のWord、Excel、PowerPointの要約機能もプレビュー提供が始まっています。
セキュリティ面では、Edge for Businessを標準ブラウザとして導入する学校や中小企業向けに、社外ネットワーク接続時でも機能するウェブコンテンツフィルタリングが無償提供されます。
さらにMicrosoft Purviewとの連携により、BYOD環境の端末からChatGPT、DeepSeek、Google Gemini、Copilotといったコンシューマー向けAIアプリへ機密プロンプトを入力しようとした際に、リアルタイムで監査・ブロックする保護機能も改めてアピールされました。
なぜ重要か
拡張機能やWebサービスを手がける開発者にとって、EdgeにPhi-4-miniが組み込まれたことは大きな転換点です。これまでAPI代を気にして導入を見送っていた文章校正や要約などの補助機能を、ゼロコストかつローカル実行で実装できるようになるため、Canaryチャネルで早めに挙動を検証しておく価値があります。
業界全体で見れば、GoogleがChromeでGemini Nanoの標準搭載を進めている動きへの直接的な対抗策と言えます。ブラウザの主戦場は、単なるWebページの表示から「エッジAIの実行環境」へとシフトしています。
ローカルモデルによる開発者支援と、Purviewによる企業向けセキュリティの囲い込みを同時に進める戦略は非常に合理的だと考えられます。ただし、Phi-4-miniのような小型モデルは複雑なタスクでの精度に限界があるほか、ユーザー端末のメモリやバッテリー消費をどの程度圧迫するのかは今後の課題となりそうです。
情報源 (1)
- blogs.windows.com(新しいタブで開きます)原文blogs.windows.com