WhatsAppが大企業向け音声通話機能を提供、AI音声対応へ道
MetaはWhatsApp Businessの大企業向けに音声通話APIの提供を開始したと発表しました。企業と顧客の双方向通話が可能になり、ElevenLabsなどのAI音声エージェントを導入した自動接客への道が開かれます。さらにAIによる商品レコメンド機能の検証も進められています。

カスタマーサポートに電話をかけ、保留音を聞かされながら何十分も待たされる体験は、誰にとってもストレスです。Metaはその課題を解消すべく、WhatsAppをAI音声エージェントの主戦場に変えようとしています。
WhatsAppは現地時間7月1日、大企業向けに音声通話機能をAPI経由で開放すると発表しました。小規模事業者向けにはすでに提供されていましたが、大企業のアカウントにも今後数週間で展開されます。これにより、顧客からの通話を受け付けるだけでなく、企業側から顧客への折り返し発信も可能になります。折り返し機能は初期のテスト段階では利用できませんでした。
さらに、企業と顧客の間で音声メッセージを送受信できる機能も近く追加される予定です。
音声APIでスタートアップのAIエージェントと連携
今回のアップデートの狙いは、単に人間のオペレーターに電話をつなぐことではありません。本命はAI音声エージェントの導入です。
Metaによると、企業は音声パイプラインを通じて、Vapi、ElevenLabs、Coval、Phonicといった音声AIスタートアップの技術を組み込み、WhatsApp上で自動応答エージェントを稼働させることができます。
また、AIを活用した商品レコメンド機能の検討も進められています。加盟店のWebサイト上でAIがおすすめ商品を提案し、その後の質問対応や進捗連絡をWhatsApp上で行うという仕組みです。
さらに、昨年からテストが進められていたチャットベースのAIサポート機能も、メキシコのより多くの事業者に拡大されています。
2億人の事業者を抱える収益源、AIはまず無料で普及へ
WhatsApp Businessの月間アクティブユーザー数は2億人を超えており、Metaの決算説明会でも重要な収益ドライバーとして言及され続けています。
現在の収益モデルは「Click-to-WhatsApp」広告と、プラットフォーム上のメッセージング機能に対する事業者向け課金が中心です。
今回発表されたAI関連機能について、現時点では料金を徴収していません。ただし同社は、利用規模が拡大した段階で有料化する可能性を示唆しています。
なぜ重要か
私たちは、Metaが自社モデルだけに固執せず、ElevenLabsなどの音声AIスタートアップが乗れるインフラとしてWhatsAppを開放した点を高く評価しています。2億人の商業ユーザーを抱える巨大プラットフォームをAPIで開放することは、従来のコールセンター業界にとって強力な脅威になります。
一般ユーザーにとっても、フライトの変更や商品の返品手続きを、専用アプリのダウンロードや保留音の待機なしに、使い慣れたメッセンジャーの音声通話で完結できる価値は非常に大きいです。
一方で懸念されるのは、企業側からの折り返し発信や音声メッセージ送信が可能になることによるスパムの急増です。AIを用いた自動営業コールが横行すれば、ユーザーがWhatsAppから離れる原因になりかねず、Metaには厳格な利用規約の運用が求められます。
当面は無料提供で企業の囲い込みを進め、ワークフローに定着した段階で課金へ移行するというMetaの戦略は極めて現実的であり、今後のエンタープライズAI市場の勢力図に確実な影響を与えそうです。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com