Meta、個人の力を引き出す「パーソナル超知能」ビジョンを公表
Metaのマーク・ザッカーバーグCEOが「パーソナル超知能」構想を発表した。AIが自己改善の兆候を示し超知能が視野に入る中、中央集権的に仕事を代替するのではなく、各個人を支援するAIを目指すと表明。スマートグラスが主要な端末になると見込んでいる。

シリコンバレーのリーダーたちが、超知能によって人間の仕事が奪われ、人類はベーシックインカムで暮らすことになるのかを議論するなか、マーク・ザッカーバーグ氏はまったく異なる未来図を提示しました。
MetaのCEOであるザッカーバーグ氏は7月30日、公開書簡を発表し、同社のAIにおける究極の目標は「パーソナル超知能」をすべての人に届けることだと明かしました。過去数カ月のあいだに、自社のAIシステムが自らを改善し始める兆候がすでに見え始めているといい、歩みは遅いものの超知能の開発は視野に入ってきたと語っています。
書簡の中で同氏は、名指しこそ避けたものの競合他社を痛烈に批判しました。業界の一部は超知能をすべての価値ある仕事の自動化に向け、人類はその分配金で生活すればいいと考えているが、Metaは個人の目標や自己実現を支援するために力を使うべきだと主張しています。
スマートグラスが主役に、オープンソース戦略にはブレーキ
個人の目標を理解するアシスタントを実現するため、ザッカーバーグ氏はハードウェアへのシフトを明確にしています。
将来的にはオフィスソフトで作業する時間が減り、創造やつながりに使う時間が増えると予測しています。その際、人間と同じものを見聞きし、日常の文脈を把握できるスマートグラスのようなウェアラブル端末が、パソコンやスマートフォンに代わる主要な計算プラットフォームになると位置づけました。
しかし、この書簡で業界に最も衝撃を与えたのは、オープンソースに対する姿勢の変化です。
これまでオープンAIモデルの旗手として振る舞ってきたMetaですが、超知能には新たな安全上の懸念があるとし、「何をオープンソースにするか慎重になる必要がある」と明記しました。報道によると、Metaは開発中だった超大型オープンモデル「Behemoth」の作業を中断し、非公開モデルに計算資源を集中させているとされ、今夏の激しい人材引き抜き劇の裏で戦略転換が進んでいます。
なぜ重要か
私たちは、この発表が巨大テック企業のAI思想における決定的な分岐点になると考えています。ユーザーにとって、仕事を奪うAIではなく、スマートグラスを通じて自分を強化してくれるAIという構想は魅力的です。しかし、それを成立させるためには、自分の視覚や聴覚といった日常のプライベートなデータをMetaに常時預ける必要があり、プライバシーの代償は極めて高くなります。
業界の視点で見れば、Metaの動きは非常に計算高いと言えます。オープンソースのLlamaで競合のビジネスモデルを崩してきたMetaですが、超知能の開発費が高騰しモデルが自律化し始めると、安全を口実にクローズド化へ舵を切ろうとしています。
もしMetaがオープン路線を後退させれば、最先端のオープンモデル開発の主導権は中国勢などに移る可能性があります。ザッカーバーグ氏が語る「個人のエンパワーメント」という美しいビジョンは、激しい人材獲得競争や巨額のインフラ投資に対する、投資家向けの巧みな正当化のようにも見えます。
情報源 (1)
- meta.com(新しいタブで開きます)原文meta.com