Meta、初の独自AIチップ「MTIA」を発表 推薦モデル特化で電力効率はGPUの最大3倍
Metaは木曜日、深層学習の推薦システムに特化した初の独自AIチップ「MTIA」を発表した。PyTorchと緊密に連携する設計で、1ワットあたりの処理効率はGPUの最大3倍に達する。複雑なネットワークではGPUに及ばないものの、独自ハードウェアの拡充に向けた大きな一手となる。

マイクロソフト、グーグル、アマゾンが相次いで自社製チップを発表する中、Meta はこれまで沈黙を守りながら NVIDIA の GPU を大量に買い続けてきました。しかし木曜日、同社もついにそのベールを脱ぎました。
Meta は初の自社設計 AI チップとなる「MTIA(Meta Training and Inference Accelerator)」を発表しました。2020 年から開発が進められてきたもので、今回公開されたのはその第 1 世代モデルです。
稼ぎ頭の推薦システムに照準
MTIA は、汎用的な GPU の完全な置き換えを目指したものではありません。Facebook や Instagram の基盤である「ディープラーニング推薦モデル」に特化してチューニングされています。
チップ内部は 8×8 のグリッドに配置された 64 基のプロセッサ要素で構成され、シストリックアレイ構造によってデータを最高速度で処理します。珍しい点として、通常は別々のチップで処理される「学習」と「推論」の両工程を 1 つのチップで担う設計になっています。
Meta によると、消費電力 1 ワットあたりの演算性能において、MTIA は既存の GPU と比べて最大 3 倍の効率を誇るといいます。ただし、より複雑なニューラルネットワークを処理させると GPU に後れを取ることも認めており、今後の課題としています。
ソフトウェア面では、Meta が主導するオープンソースの機械学習フレームワーク「PyTorch」の開発チームと密接に協調設計されています。開発者は PyTorch や C++ だけでなく、「KNYFE」と呼ばれる専用言語を使い、高水準の機械学習記述から MTIA 向けに最適化された低水準 C++ コードを生成できます。
あわせて Meta は、動画処理専用チップ「MSVP(Meta Scalable Video Processor)」も披露しました。Facebook での 1 日あたり 40 億回を超える動画再生を支えるため、Intel の CPU や NVIDIA の GPU に依存せず、高効率な動画圧縮と配信を実現する設計です。
なぜ重要か
今回の Meta の動きは、極めて現実的で賢明な一手だと私たちは考えます。
いきなり最先端の巨大言語モデル学習で NVIDIA に勝負を挑むのではなく、自社のデータセンターで最もリソースを食っている推薦アルゴリズムと動画配信という固定費の削減を狙いました。この規模で電力効率が 3 倍になれば、サーバーコストの削減効果は莫大です。さらに、世界中の開発者が使う PyTorch を手元でコントロールできるため、他社製ハードウェアのような導入障壁がほとんどありません。
一方で、学習と推論の両立を狙った結果、複雑なモデルで性能が落ちるという弱点も露呈しています。これは、Meta がフロンティアモデルの開発において、当面の間 NVIDIA 製 GPU から離れられない現実を示しています。
テック大手各社による「NVIDIA 依存の分散」はこれで出揃いました。日常の大量処理には自前の高効率 ASIC をあて、最先端の実験には汎用 GPU を使うというハイブリッド体制が、今後のクラウド競争の標準形になりそうです。
情報源 (1)
- zdnet.com(新しいタブで開きます)原文zdnet.com