Meta、816Bオープンモデル「Muse Spark Open」公開:M5 Ultra Mac 2台で動作
Metaは総パラメータ数816B(アクティブ42B)、1Mコンテキストを備えるオープンモデル「Muse Spark Open」を公開した。最大の注目点は、MLXを用いて2台のApple M5 Ultra Mac Studio上で完全にローカル動作し、高度なコーディングやエージェント処理をこなせる点だ。

Muse Spark Openは、Metaが公開したオープンウェイトのネイティブマルチモーダルモデルだ。総パラメータ数は816B、コンテキスト長は最大100万トークンに達し、複雑なコーディングやエージェントタスクに特化している。
最大の特徴は、この巨大なモデルをデスクトップ上で動かせる点だ。AppleのMLXフレームワークを活用することで、M5 Ultraを搭載した2台のMac Studioを使い、完全オフラインでローカル実行できる。
816Bパラメータをデスクトップで動かす仕組み
Muse Spark OpenはMixture of Experts(MoE)構造を採用している。モデル全体で62層あり、各層に256のエキスパートを備えるが、1トークンの処理で実際に使われるのは8つのエキスパートのみだ。
つまり、816B相当の知識や推論能力を保持しながら、実際の計算負荷は42Bのアクティブパラメータ分に抑えられている。中型モデル並みの推論速度を維持できる設計だ。
ただし、MoEは256のエキスパート全員をメモリ上に常駐させる必要がある。BF16形式のチェックポイントは約1.5TBに達し、通常のクラウドアシストではH200を8基積んだノードが4台必要になる規模だ。
そこでMetaはApple Siliconのユニファイドメモリに着目した。M5 Ultra Mac Studioは1台あたり最大512GBのメモリを積める。MLXを使って2台を束ねることで1TBのユニファイドメモリを確保し、1.2TB/sの帯域幅で駆動させることで、デスクトップ上にミニスーパーコンピュータを構築した。また、Blackwell向けに4ビット化したNVFP4版も用意されている。
できることと実際の性能
モデルはテキストに加え、画像、音声、動画を直接入力として受け取り、テキストを出力する。音声は1秒あたり12.5トークンに変換され、動画もフレーム単位で認識可能だ。
Metaのテストでは、AIコーディング環境「Muse Code」と連携し、Mastodonクライアントアプリ「Ice Cubes」のバグ修正から新機能追加、ビルドまでを完遂させた。また、動画編集ソフトDaVinci Resolveを操作し、映像の見どころを検出して縦型動画に切り出す処理もこなしている。
一方で、コミュニティからは疑問の声も上がっている。YouTubeなどの検証では、公式のベンチマーク結果はチェリーピックされた側面が強く、外部の評価指数ではGLM 5.3やStep 5、Kimiko Free、Mimo 2.6といった他のオープンモデルの後塵を拝しているとの指摘もある。APIの利用コストも競合より高めだ。
ハードウェア要件とライセンスの注意点
実際に動かすためのハードルは決して低くない。ハードウェアの用意だけでなく、Metaのライセンス要件にも癖がある。
Hugging Faceでモデルを入手する際、本名や生年月日、所属組織の入力が求められる。さらに、利用規約ではUI上に「built with Muse Spark open」の表記を義務付けており、年間売上が2000万ドルを超える場合は別途ライセンス契約が必要だ。
試してみたい場合、重みはHugging FaceやAWS SageMaker JumpStartで配布されており、MLX、vLLM、SGLang、llama.cppに対応している。API経由であればGroqやFireworks AI、Together AIからアクセス可能だ。
なぜ重要か
コードや機密データを一切外部に出せない企業にとって、2台のMac Studioで100万トークンのコードベースを完全ローカル処理できる環境は魅力的な選択肢になる。
しかし、一般的な開発者がいま飛びつく価値があるかといえば疑問が残る。要求されるハードウェアがあまりに高額なうえ、独立系の検証ではより軽量なオープンモデルに性能面で劣るケースが報告されている。目立つUI表示義務も含め、商用利用にはハードルが多い。デスクトップ超並列の技術実証としては面白いが、実用面ではまだ様子見が妥当だ。
情報源 (5)
- research.meta.ai(新しいタブで開きます)原文research.meta.ai
- huggingface.co(新しいタブで開きます)報道huggingface.co
- aws.amazon.com(新しいタブで開きます)報道aws.amazon.com
- youtube.com(新しいタブで開きます)報道youtube.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com