MetaがLimitlessを買収:PC記録ツール「Rewind」は終了、Pendantも販売停止へ
AIウェアラブルを手掛けるLimitlessがMetaに買収されたと発表した。PC上の画面や音声を常時記録するMac向けアプリ「Rewind」は12月19日に機能停止となり、録音ペンダント「Pendant」の新規販売も即座に終了する。既存のPendant利用者には最低1年間の無料サポートが提供される。
PCの画面や音声をすべて記録・検索できるアプリ「Rewind」や、首掛け型のAIデバイス「Pendant」で注目を集めた米スタートアップのLimitlessが、Metaに買収されたことが明らかになりました。
Limitlessの共同創業者兼CEOであるDan Siroker氏が12月5日に公式サイトで発表し、MetaもTechCrunchなどの取材に対して買収の事実を認めました。チームはReality Labsのウェアラブル部門に合流します。
しかし、既存のユーザーにとっては厳しい幕引きとなりました。
ペンダントは販売終了、Rewindは2週間で停止
同社は2022年に登場したRewindで一躍脚光を浴びました。10GB超の録画データを3MB未満に圧縮する独自技術を備え、PC上で見聞きした情報を自然言語で後から検索できる体験が話題を呼びました。
その後、社名をLimitless AIに改め、日常の会話を常時録音・文字起こしする99ドルのウェアラブル端末「Pendant」を発売。a16zやFirst Round Capital、NEAなどから計3300万ドル以上の資金を調達していました。
Metaによる買収に伴い、これらの既存製品は段階的に整理されます。
Pendantのハードウェア販売は12月5日をもって即時終了しました。既存ユーザーにはサブスクリプションが無料化されたUnlimitedプランが提供され、少なくとも2026年中はサポートが継続されます。一方で、デスクトップアプリのRewindは12月19日のアップデートですべての画面・音声キャプチャ機能が無効化され、事実上のサービス終了となります。
さらに地域制限も加わり、EU、英国、中国、韓国、ブラジル、イスラエル、トルコでは12月5日時点でサービス提供が打ち切られました。対象地域のユーザーは12月19日までにデータをエクスポートしなければ、アカウントと保存データが完全に削除されます。
スマートグラスへの技術統合が狙いか
Siroker氏は声明のなかで、5年前はAIとハードウェアの組み合わせは無謀と見なされていたが、今やMetaやOpenAIといった巨大テックが自らデバイス開発に乗り出す時代になったと競争環境の変化を語っています。
Metaの狙いは、Pendantというハードウェアそのものではなく、同社が培ってきた常時記録の圧縮技術や文脈検索のノウハウにあるとみられます。現在Metaが注力しているRay-Ban Metaなどのスマートグラスに、これらの技術を組み込む公算が大きいと考えられます。
なぜ重要か
現在RewindやPendantを利用しているユーザーは、何よりもまず12月19日の期限までに過去の記録データをエクスポートしておく必要があります。特に日本以外の対象地域に含まれるユーザーは、期日を過ぎるとデータが完全に消去されるため注意が必要です。
業界全体で見れば、単機能のAI専用ハードウェアが単独で生き残ることの難しさを改めて浮き彫りにしました。HumaneのAI Pinの苦戦やFriendの評価を見るまでもなく、首から下げるだけのマイク端末は、スマートグラスや既存のスマートフォンに吸収されていく運命にあります。
Metaの判断は、スマートグラスの「文脈理解」を強化するエンジニアリング部隊を手に入れるという意味で非常に合理的だと考えられます。しかし、個人の記憶を預かるサービスを標榜していた企業が、買収を機にわずか2週間の猶予で一部地域のデータを削除しサービスを閉じるやり方には、初期から支持してきたファンに対する配慮が欠けていると言わざるを得ません。
情報源 (4)
- youtube.com(新しいタブで開きます)原文youtube.com
- 9to5mac.com(新しいタブで開きます)報道9to5mac.com
- limitless.ai(新しいタブで開きます)報道limitless.ai
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com