LinkedIn、ユーザーデータを生成AI学習にデフォルト利用:手動での拒否が必要に
LinkedInがユーザーデータを生成AIモデルの学習に事前通知なくデフォルトで利用していることが報じられた。アカウント設定の「データプライバシー」からオプトアウトできるが、すでに完了した学習データは取り消せない仕様だ。なお、EUやスイスの居住者は対象外となっている。

ビジネス向けSNSのLinkedInが、ユーザーの投稿やプロフィールデータを生成AIの学習に事前同意なしで利用していたことが明らかになりました。
米メディアの404 Mediaが最初に報じたところによると、LinkedInはプライバシー規約の更新に先駆けて、アカウント設定内に「生成AI向上のためのデータ利用」という項目を新設し、初期状態でオンにしていました。その後規約は改定され、同社の法務責任者Blake Lawit氏は11月20日に正式な規約更新が発効すると説明しています。
しかし、ユーザーにとって最も厳しい制約は、オプトアウトしても過去にさかのぼって学習データを取り消すことはできないという点です。適用されるのは今後のデータのみとなります。
完全に拒否するには2段階の手続きが必要
LinkedInのFAQによると、学習対象となるデータには、作成した投稿や記事、利用頻度、言語設定に加え、AI作成アシスタントなどの機能とのやり取りが含まれます。これらのデータは、推薦アルゴリズムや文章作成支援モデルの学習に使われ、自社だけでなく親会社であるMicrosoftのAzure OpenAIサービスなどにも提供される可能性があります。
さらに同社のFAQでは、生成AI機能に入力した個人情報が、将来的に別のユーザーへの出力結果として表示されてしまうリスクがあることも認められています。
学習を拒否するには、まず設定の「データプライバシー」タブから「生成AI向上のためのデータ」を選び、トグルスイッチをオフにする必要があります。ただし、これは生成AI向けの学習を止めるだけにすぎません。
おすすめ表示やモデレーションなど、非生成型の機械学習ツールへのデータ提供まで完全に止めるには、別途用意された「データ処理異議申し立てフォーム」を探し出して送信しなければなりません。
欧州は最初から除外、英国でも即座に一時停止
注目すべきは、この自動学習が全世界一律で強行されたわけではない点です。EU、欧州経済領域(EEA)、スイスのアカウントは、厳格な一般データ保護規則(GDPR)が存在するため、当初から学習の対象外とされていました。
一方、対象に含まれていた英国では、情報コミッショナー庁(ICO)が懸念を表明したことを受け、LinkedInは9月20日に英国ユーザーのデータを使ったAI学習を一時停止すると発表しました。
Metaが2007年以降の公開投稿を学習に使っていた問題や、X(旧Twitter)がGrokの学習にユーザーデータを利用してアイルランド当局から追及された事例と同様の摩擦が、LinkedInでも繰り返された格好です。
なぜ重要か
AI開発における高品質なテキストデータの枯渇が深刻化するなか、LinkedInが保有する職務経歴やビジネス上の専門的な投稿は、Microsoftにとっても極めて貴重な学習資源です。今回の動きは、プラットフォーム企業がいかに自社ユーザーの投稿資産をAI競争の燃料として囲い込もうとしているかを浮き彫りにしました。
しかし、利用規約を改定する前に密かに初期設定をオンにし、設定解除をアプリ内のトグルと外部フォームの二重構造にした設計は、決して誠実とは言えません。すでに学習を終えたモデルからデータを分離できないことを理由に「過去分は取り消せない」と突っぱねるやり方は、ユーザーの権利を軽視していると言わざるを得ません。
日本を含む対象地域のユーザーは、今すぐ設定を見直し、不要であればトグルをオフにしてフォームを送信しておくべきです。そして何より、EUや英国でのみ利用停止が成立したという事実は、法的な強制力がない限り、プラットフォーム企業が自発的にユーザーのプライバシーを尊重することはないという冷徹な現実を示しています。
情報源 (5)
- theverge.com(新しいタブで開きます)原文theverge.com
- arstechnica.com(新しいタブで開きます)報道arstechnica.com
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com
- bbc.com(新しいタブで開きます)報道bbc.com
- techradar.com(新しいタブで開きます)報道techradar.com