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業界動向

Transformer論文の最後の著者もGoogle退社:競合を生んだ巨人の誤算

公開 拡散指数 47

ChatGPTなどの基盤となった2017年のTransformer論文『Attention is All You Need』の著者8人のうち、最後までGoogleに残っていたリオン・ジョーンズ氏が退社を発表した。これで著者全員が同社を去り、CohereやCharacter.aiなど合計評価額41億ドル超のAIスタートアップを立ち上げている。

Transformer論文の最後の著者もGoogle退社:競合を生んだ巨人の誤算
画像:bloomberg.com

ChatGPTの「T」の生みの親たちが、全員グーグルを去りました。

2017年に発表され、8万回以上引用された金字塔的論文「Attention is All You Need」。その著者8人のうち、最後までグーグルに残っていたLlion Jones氏が退職し、自身の会社を立ち上げると表明しました。これで著者全員が同社を離れたことになります。

この論文が提示した「Transformer」は、自然な文章や画像、DNA配列などを極めて効率よく生成する仕組みで、現在の生成AIブームの基盤となっています。

創業したスタートアップの企業価値は計41億ドルに

グーグルを飛び出した研究者たちは、AI界の主役に躍り出ました。

Pitchbookなどのデータによると、元著者たちが立ち上げた企業の評価額は合計で約41億ドル(約5800億円規模)に達しています。同社のAIレジェンドと呼ばれたNoam Shazeer氏が設立したCharacter.aiをはじめ、エンタープライズAIのCohereやEssential.ai、バイオテックのInceptive Nucleicsなど錚々たる顔ぶれです。

Jones氏は、自身の顔や名前を知る人はいなくても「ChatGPTの『T』を作ったチームにいた」と話せばわずか5秒で凄さが伝わる、と最近の反響の大きさを語っています。

なぜグーグルで花開かなかったのか

歴史的発明を生み出しながら、なぜOpenAIの独走を許してしまったのでしょうか。

元従業員たちが指摘するのは組織の肥大化と官僚主義です。Glass.aiの推計によると、グーグルのAI人材は約7133人にのぼります。一方、競争の火蓋を切ったOpenAIのAI研究者は2023年時点で約150人に過ぎませんでした。

組織が巨大化したグーグルでは、研究を製品化するまでに幾重もの承認プロセスが存在しました。また、社内には「10億ドル規模の事業にならないと会社は動かない」という空気があり、失敗を繰り返しながら手探りで新技術を育てる余裕が乏しかったと元著者の一人であるIllia Polosukhin氏は振り返っています。

なぜ重要か

私たちは、この8人全員の離脱こそが、大企業が抱える「イノベーションのジレンマ」の象徴だと考えています。世界最高峰の研究者を抱え、画期的なブレイクスルーを自ら起こしながらも、既存の事業基盤と官僚的な承認フローに縛られ、それを実用サービスへと昇華させるスピードで小回りの利く競合に後れを取りました。

一方で業界全体を見れば、この頭脳流出はむしろポジティブに作用しています。技術がグーグル社内に死蔵されず、起業を通じてエンタープライズ、バイオ、対話型サービスなど幅広い分野へ拡散したことで、多様なAIエコシステムが急速に形成されました。

どれほど優れた技術を発明しても、リスクを取って素早く市場に問う環境がなければ覇権は握れないという教訓を、この事例は明確に示しています。

情報源 (2)

  1. [1]
    bloomberg.com(新しいタブで開きます)原文bloomberg.com
  2. [2]

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