地平線が人型ロボット制御モデル「HoloMotion-1」を公開:300 FPSで全身を制御
Horizon Roboticsは、人型ロボット向け全身制御モデル「HoloMotion-1」をオープンソースで公開した。4億パラメータのMoE構造を採用し、エッジ側で約300 FPSのリアルタイム推論を実現。Unitree G1などのロボットが追加訓練なしでダンスや蹴り技などの複雑な動作を再現できる。
HoloMotion-1は、人型ロボットの全身運動制御に特化したオープンソースの「小脳」AIモデルです。エッジデバイス上で約300 FPSという高速推論を行い、複雑な全身動作を滑らかに制御できます。
従来のロボット運動制御モデルは数十万から数百万パラメータ規模の小型モデルが主流で、複雑な動作を汎用的にこなすのは困難でした。HoloMotion-1はパラメータ数を4億規模に拡大しつつ、1ステップの推論遅延を3.32ミリ秒に抑えています。一般的なロボット制御で求められる50Hzを大幅に上回る約300 FPSを実現したことで、大容量モデルでありながら実機のリアルタイム制御ループに組み込めるのが大きな特徴です。
何ができるのか
最大の特徴は、動画やモーションキャプチャから「あらゆる姿勢を模倣する」汎用的な追従性能です。
学習にはインターネット上の動画から復元した動作データ、光学式モーションキャプチャ、VR機器や慣性センサーを使った遠隔操作ログなど多様なソースを活用しています。これらを共通フォーマットに変換し、ロボットの関節構造に合わせてリターゲットしました。
Unitree G1人型ロボットを使った実機テストでは、追加のファインチューニングなしでゼロショット動作を実現しました。ネット動画のダンスを再現したり、床を這う、椅子に座る、回し蹴りを繰り出すといった接触の多い激しい動きをこなしたほか、VRコントローラーからのリアルタイムな遠隔操作にも追従しています。
仕組みと提供形態
4億パラメータの制御モデルをエッジで高速に動かすため、MoE-Transformer構造を採用しています。
目標姿勢とロボットの自己受容感覚が入力されると、条件付きルーターが必要なエキスパートネットワークのみを疎に呼び出します。さらにKVキャッシュとシーケンス単位の強化学習最適化を組み合わせることで、計算負荷を最小限に抑えています。
今回は単なる重みの公開にとどまらず、データ処理から学習、評価、実機デプロイまでのツールチェーンが一式オープンソース化されました。事前に学習済みのトラッキングモデルが提供されており、手元のデータで再訓練することも可能です。ハードウェア面では、80〜128 TOPSの処理能力を持つ車載・ロボット向けエッジ基板RDK S100への最適化も予定されています。
なぜ重要か
人型ロボットの制御アルゴリズムを研究する開発者やスタートアップにとって、HoloMotion-1は面倒なパイプライン構築を一気にスキップできる実用的なベースラインになります。
従来のロボット制御はタスクごとに個別訓練する手法が中心でしたが、HoloMotion-1は大容量モデルと多様な動画データによって運動制御でも汎化性能を引き出せることを示しました。階段や不整地への対応など視覚と連動した課題はまだこれからですが、エッジで300 FPSが出る実用的な小脳モデルがオープンになった意義は極めて大きいです。
情報源 (1)
- horizon.auto(新しいタブで開きます)原文horizon.auto