Hidden Door、生成AIによる『オズの魔法使い』RPGのテストを開始
Hidden Doorは、生成AIを活用してプレイヤーごとに異なる物語を紡ぐ『オズの魔法使い』ロールプレイングゲームの限定プレイテストを開始した。AIの語り手が選択に応じてプロットやアイテム、アートを即座に生成し、ブラウザで手軽に遊べる。正式版は2023年冬に登場予定だ。

お気に入りの物語を読み終えた後、「この世界の続きを自分で冒険できたら」と思ったことはないでしょうか。
ニューヨークを拠点とするゲームテクノロジースタジオのHidden Doorは、生成AIを活用したテーブルトークRPGプラットフォームの限定プレテストを公式Discord上で開始しました。第1弾の舞台に選ばれたのは、児童文学の古典『オズの魔法使い』です。正式版の公開は2023年冬を予定しています。
AIがゲームマスターになるオズの国
このゲームは、ブラウザ上で動作するデジタルTRPGとインタラクティブなグラフィックノベルを融合させた体験です。
プレイヤーは冒険を始める前に「カンバリング(召喚)」と呼ばれるプロセスで、登場させたいキャラクターやプロット、全体の雰囲気(バイブス)を設定します。ゲームが始まると、プレイヤーの入力や選択に応じてAIの語り部(ナレーター)が物語、アイテム、舞台をリアルタイムに生成していきます。
行動は選択肢から選ぶだけでなく、自由入力も可能です。原作通りに冒険を進めることもできれば、西の悪い魔女と同盟を結んだり、旅に出ずにカンザスにとどまって愛犬トトと遊び続けたりといった突飛な行動にもAIが破綻なく追従します。挿絵となるアートも同社独自の画風をもとにAIが生成します。
パブリックドメインから公式IP展開へ
Hidden Doorは2020年に設立され、ゲームクリエイターやAI研究者によって約3年間開発が進められてきました。
CEOのHilary Mason氏によると、最初の舞台に『オズの魔法使い』(ライマン・フランク・ボームによる原作14作)を選んだ理由は、パブリックドメインで権利上の障壁がないこと、誰もが知る世界観で忠実度を証明しやすいこと、そして自由度の高い広大なサンドボックスであることの3点です。
同社の目的はオズのゲームを作ることだけにとどまりません。今後は映画や小説のIP(知的財産)保有者と直接提携し、ファンがお気に入りの世界に入り込める公式ソーシャルRPGを展開していく計画です。
なぜ重要か
TRPGファンにとって、ゲームマスター(進行役)の手配やシナリオ準備は常に最大のハードルでした。AIがその役割を担うことで、ルールブックを読み込まなくても、ブラウザを開くだけで仲間と即座に物語体験を始められる価値は大きいです。
IPビジネスの観点でも、従来のように多額の予算をかけてゲームを開発する以外の選択肢が生まれます。AIを使って世界観を学習させれば、原作のトーンを守りながらファンに無限の二次創作的体験を提供できるようになります。
私たちは、Hidden Doorが著作権侵害リスクのないパブリックドメイン作品と自社アートスタイルから手堅くスタートした点を賢明だと評価します。一方で、大手IPホルダーを納得させるには、プレイヤーの突飛な入力によって原作のイメージが損なわれないよう、どこまで強固なセーフティガードを維持できるかが今後の鍵になるでしょう。
情報源 (1)
- venturebeat.com(新しいタブで開きます)原文venturebeat.com