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研究

OpenAIのGPT-5、ウェットラボの分子クローニング効率を79倍に向上

公開 拡散指数 37

OpenAIはRed Queen Bioと共同で、GPT-5がウェットラボの分子クローニング工程を自律的に改善し、効率を79倍向上させたと発表した。指示のみで新規の酵素メカニズムを考案し、人間は実験作業を担当した。AIが実世界の生物実験でも高度な科学的推論を行えることを示している。

OpenAIのGPT-5、ウェットラボの分子クローニング効率を79倍に向上
画像:openai.com

数学の難問を解いたりコードを書いたりするAIにはすっかり慣れましたが、実験室の「ウェット」な世界となると話は別です。理論上は完璧に見えるアイデアでも、試験管の中の分子が思い通りに反応してくれるとは限りません。

OpenAIは、バイオセキュリティのスタートアップであるRed Queen Bioと共同で実施した実験結果を公開しました。GPT-5に分子生物学の基本的な実験手順である分子クローニングの最適化を任せたところ、人間の指示や介入がない状態で、全体のクローニング効率を79倍に向上させる新しいプロトコルを自ら考案しました。

絡まったDNAをほぐす新手法

実験の出発点となったのは、2009年に開発され分子生物学で広く使われているギブソン・アセンブリーをベースにしたNew England BiolabsのHiFiアセンブリーです。今回は緑色蛍光タンパク質の遺伝子を汎用プラスミドpUC19に組み込む反応が対象となりました。

ギブソン法は単一の試験管かつ一定の温度で完結する手軽さが強みですが、その制約ゆえに最適化の余地が残されていました。

GPT-5はRAPF-HiFiと名付けた新手順を提案しました。大腸菌由来の組換え酵素RecAと、T4ファージの遺伝子32一本鎖DNA結合タンパク質gp32という2種類のタンパク質を反応系に追加したのです。gp32がクシのようにDNA末端の絡まりをほぐし、RecAが適切な相手との結合を案内します。さらに、最初の50度から37度に下げてこれらを働かせ、再び50度に戻すという温度変化の手順まで設計し、酵素反応単体で2.5倍以上の改善を達成しました。

教科書の常識を破った細胞濃縮

さらに驚きだったのは、作成したDNAを細菌に取り込ませる形質転換の工程での提案です。

実験現場では、高効率な化学受容性細胞は非常に脆く壊れやすいため、遠心分離などの強い物理的ストレスは避けるのが常識とされてきました。しかしGPT-5は、4度で細胞を遠心分離して上澄みを半分捨て、細胞を再懸濁して密度を高める方法を提案しました。分子同士の衝突頻度を上げるのが狙いです。

細胞はこの処理に耐え、このワンステップだけで形質転換効率が30倍以上跳ね上がりました。酵素反応の改善と掛け合わせることで、最終的な効率は79倍に達しました。一連の実験において、人間は試薬を扱いデータを入力する作業員に徹し、プロンプトには一切の手がかりを与えませんでした。

なぜ重要か

この成果は、AIが既知の論文を要約する段階を越え、物理的な実験結果を自ら解釈して仮説検証を進める能力を持ち始めたことを示しています。タンパク質工学や遺伝子スクリーニングを行う研究者にとって、クローニング効率が数十倍になることは、作成できるライブラリの規模が飛躍的に広がり、研究コストと時間を大幅に削減できることを意味します。

固定されたプロンプトだけで探索を回したOpenAIの検証手法は、人間のアドバイスによる誘導を排除した点で極めて堅実です。一方で、固定設定ゆえに有望な結果を深掘りするプロセスが制限されたと見られ、最適化の余地はまだ残されていると考えられます。

バイオ分野における実験自動化の可能性が示されたと同時に、バイオセキュリティの観点では新たな課題を突きつけています。AIが実験手順を自律的に効率化できるということは、有益な研究だけでなく危険物質の作成ハードルも下げかねません。今後は、実験室でのAI活用と安全基準の整備が表裏一体で進むことになりそうです。

情報源 (1)

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    openai.com(新しいタブで開きます)原文openai.com

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