Google、Vertex AI を大幅刷新:Claude 2 や Llama 2 の導入に加え PaLM 2 も拡張
Google は「Cloud Next」にて Vertex AI の大幅アップデートを発表した。PaLM 2 のコンテキスト長を 32k に拡大し、Codey や Imagen を改良したほか、Claude 2 や Llama 2 も直接利用可能にした。プラグイン機能や企業向け検索会話ツールも提供し、AWS Bedrock に対抗する。
自社製モデルの強化と他社製モデルの開放
Google Cloud が、生成 AI 領域での巻き返しに向けて大きく舵を切りました。年次カンファレンス Cloud Next にて、同社の機械学習基盤 Vertex AI の大幅なアップデートを発表しました。
まず自社モデルの底上げです。基幹言語モデル PaLM 2 はコンテキスト長が 32,000 トークンに拡大され、一般提供言語が 38 言語、プレビューで 100 以上の言語に対応しました。コード生成モデル Codey は主要言語で品質が 25% 向上したとし、画像生成モデル Imagen にはわずか 10 枚の参照画像から企業のブランドトーンを再現できる Style Tuning 機能が追加されています。
それ以上に大きな変化は、他社モデルの積極的な取り込みです。事前構築済みモデルを提供する Model Garden に、Meta の Llama 2、Technology Innovation Institute の Falcon、さらには Anthropic の Claude 2 が加わりました。競合モデルであっても自社のインフラ上で動かしてもらう道を選んだ形です。
業務システムと接続する拡張機能群
モデルを単に動かすだけでなく、社内業務で使えるようにするためのツール群も一斉に拡充されました。OpenAI のプラグインに相当する Extensions とデータコネクタが導入されています。
Extensions は、モデルが MongoDB、Redis、DataStax などのデータストアやメール、CRM を介して自律的なアクションを実行できるようにする仕組みです。データコネクタは Salesforce、Jira、Confluence などから読み取り専用でデータを取得し、社内情報に基づいた回答を可能にします。
また、検索・対話アプリの構築ツールである Vertex AI Search と Vertex AI Conversation が一般提供になりました。過去の文脈を維持したまま追加質問ができるマルチターン検索や要約機能を備えています。さらに、チャットボットの役割や対応手順を自然言語で指示できる Playbook 機能もプレビュー公開されました。
なぜ重要か
Google が自社モデル至上主義を捨て、現実的なプラットフォーム路線へ舵を切った点が注目されます。Claude 2 や Llama 2 を取り揃えたことで、先行しながら立ち上げに手間取っている Amazon Bedrock に対し、直接プレッシャーをかける構図になりました。
開発者や企業にとってのメリットは明確です。モデルごとに異なるインフラを用意することなく、Google の安全管理やデータガバナンス機能、Ray などの計算フレームワークと組み合わせながら、最適なモデルを選んで試せるようになります。コンテキスト長を 32,000 トークンに抑えた点についても、推論コストとのバランスを考えれば実務的な判断といえます。
ただし、懸念材料も残っています。学習データの著作権リスクについて Google は内部レビューを行っていると説明するものの、外部データのオプトアウト手段は提供していません。また、生成された成果物の著作権が利用企業に帰属するのかという法的な論点についても明確な答えは示されませんでした。本格的な商用展開を考える法務部門にとっては、まだ慎重な姿勢が求められそうです。
情報源 (1)
- techcrunch.com(新しいタブで開きます)原文techcrunch.com