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研究

Googleが量子チップ「Willow」発表、長年の誤り訂正課題を突破

公開 拡散指数 32

Googleは最新量子チップ「Willow」を発表した。量子ビット数を増やすほど誤り率を指数関数的に低減させる「閾値未満」を達成し、約30年越しの課題をクリア。最新スパコンで10の25乗年かかる計算を5分未満で完了させ、実用的な量子コンピューティングへ大きく前進した。

Googleが量子チップ「Willow」発表、長年の誤り訂正課題を突破
画像:blog.google

量子コンピューター開発において最大の壁となってきたのは、ハードウェアを拡大するとノイズに弱くなり、エラーが増えて計算が崩壊するという矛盾でした。

量子ビットを増やせば増やすほど壊れやすくなるこの現象は、過去30年にわたり実用化を阻む厚い壁となっていました。

Googleは12月9日、この課題を打破する最新の超伝導量子プロセッサ「Willow」を発表し、英科学誌Natureに論文を掲載しました。

量子ビットを増やすほどエラーが半減する

Willowは105個の量子ビットを搭載しており、米カリフォルニア州サンタバーバラに新設された専用施設で製造されました。

最大の成果は、量子誤り訂正において「閾値以下(below threshold)」を達成した点です。これは1995年にピーター・ショア氏が誤り訂正理論を提唱して以来、研究者が追い求めてきた水準です。

物理量子ビットのグリッドを3x3から5x5、さらに7x7へと拡大する実験において、アレイを広げるたびに誤り率を半減させることに成功しました。

規模を拡大することで誤りが指数関数的に減少する状態を実現し、超伝導システム上でのリアルタイム誤り訂正も示しました。また、励起状態を維持できる時間を示すT1時間は約100マイクロ秒に達し、前世代チップと比べて約5倍に向上しています。

スーパーコンピュータで100溝年かかる計算を5分で完了

計算能力のベンチマークである「ランダム回路サンプリング(RCS)」において、Willowは圧倒的な性能差を見せつけました。

現在世界最速クラスのスーパーコンピュータ「Frontier」で計算した場合に10の25乗年(10セプティリオン年)かかるタスクを、Willowは5分未満で処理しました。

この年数は宇宙の年齢をはるかに上回る天文学的な数字です。計算を可能にするため、チップは宇宙空間よりも冷たい希釈冷凍機の中に収められ、特製のマイクロ波配線と電磁シールドで熱やノイズから保護されています。

ただしGoogle側も認めている通り、RCSは古典コンピュータに対する性能優位性を確認するための指標であり、それ自体に直接的な実用性はありません。

なぜ重要か

今回の発表は、スケーラブルな誤り耐性量子コンピュータが物理的な不可能事ではなく、実現可能なエンジニアリングの領域に入ったことを実証した点で極めて重要だと考えられます。

これまで業界では、規模を広げればノイズに飲み込まれるのではないかという懸念が根強くありました。規模を拡大することで逆にエラーを抑え込めることを示した意義は非常に大きいです。

一方で、一般ユーザーやソフトウェア開発者が今すぐその恩恵を受けられるわけではありません。ベンチマーク上の勝利と、創薬や材料開発といった現実の問題解決との間にはまだ距離があります。

Googleの次の目標は、古典コンピュータでは解けず、なおかつ商業的価値を持つアルゴリズムを実証することです。IBMなどの競合他社に対しても、単なる量子ビット数の誇示から「実効的な誤り訂正能力」への競争軸のシフトを迫ることになりそうです。

情報源 (2)

  1. [1]
    blog.google(新しいタブで開きます)原文blog.google
  2. [2]
    blog.google(新しいタブで開きます)報道blog.google

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