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AWS、量子計算チップ「Ocelot」を発表 誤り訂正コストを最大90%削減

公開 拡散指数 39

AWSは量子計算チップのプロトタイプ「Ocelot」を発表した。「キャット量子ビット」を採用してノイズ耐性を高め、量子誤り訂正に必要なリソースとコストを最大90%削減できるという。実用的な誤り耐性量子コンピューターの実現を最大5年早められる可能性があると期待されている。

画像:aboutamazon.com

量子コンピューターが抱える最大の難題は、単に量子ビットの数を増やすことではなく、環境ノイズによる計算エラーをいかに抑え込むかという点にあります。

外部からのわずかな熱や振動、電波の影響で量子状態は簡単に崩れてしまいます。従来の誤り訂正アプローチでは、1つの計算用量子ビットを守るために大量の補助量子ビットを配置する必要があり、実用化に必要なコストやリソースが天文学的に膨れ上がっていました。

AWSは、量子誤り訂正に必要なリソースを最大90パーセント削減できるとする新型量子計算チップ「Ocelot」を発表しました。カリフォルニア工科大学内のAWS量子コンピューティングセンターが開発したもので、研究成果は学術誌Natureに掲載されています。

「キャット量子ビット」を1平方センチの微細チップに実装

Ocelotの最大の特徴は、アーキテクチャの根底から誤り訂正を組み込み、「キャット量子ビット(cat qubit)」を採用した点にあります。

シュレーディンガーの猫にちなんで名付けられたこの技術は、特定の形式のエラーを物理的な性質によって本質的に抑制します。そのため、後からエラーを監視して修復するための余分なリソースを大幅に減らすことができます。

ハードウェア構成としては、それぞれ約1平方センチメートルのシリコンマイクロチップを上下に貼り合わせ、電気的に接続した積層構造をとっています。

チップ内には14個の主要コンポーネントが搭載されています。計算状態を保持する5つのキャット量子ビット、それらを安定化させる5つのバッファ回路、そしてエラーを検出する4つの追加量子ビットです。素子には超伝導材料のタンタル薄膜が用いられており、既存の半導体製造技術を応用して製造できるスケーラビリティも確保されています。

誤り訂正コストを5分の1へ、実用化を最大5年加速

AWSで量子ハードウェアディレクターを務めるオスカー・ペインター氏は、従来の方式に比べてOcelotアーキテクチャによるチップは将来的にコストを5分の1程度に抑えられると説明しています。

また、この効率的な設計によって、社会的に有用なフォールトトレラント(耐障害性)量子コンピューターの実現時期が最大で5年早まる可能性があるとチームは試算しています。

もちろん、Ocelotは現時点では概念実証のためのプロトタイプです。AWSは自社製クラウドCPUであるGravitonを長期にわたって育成してきたのと同様に、量子分野でも基礎研究と工学的な改良を何段階も重ねていく方針を示しています。

なぜ重要か

私たちは、AWSのアプローチが量子業界における「量子ビット数の誇示競争」を「実効的な誤り訂正効率の競争」へとシフトさせる重要な転換点になると考えています。

これまで多くのプレイヤーは物理量子ビットの総数を競い合ってきましたが、誤り訂正にかかるコストが膨大すぎて実用規模へのスケールアップが疑問視されていました。ハードウェアレベルでエラーを抑え込むキャット量子ビットを選び、半導体プロセスで製造できる積層チップに落とし込んだAWSの設計思想は極めて合理的です。

ユーザーの視点では、Ocelotそのものを今すぐ本番環境で使えるわけではありません。しかし、AWSが提供するフルマネージドサービス「Amazon Braket」を通じて、現在でもシミュレータや第三者の量子ハードウェアを触り、将来のアルゴリズムを準備しておく価値は十分にあります。

業界全体にとっても、IBMやGoogleが先行する超伝導アプローチに対し、ハードウェア内在型の誤り訂正という有力な対抗軸が提示された意味は大きいです。もしこの方式が量産フェーズでも想定通りの歩留まりを発揮すれば、耐障害性量子マシンの商用化ロードマップ全体が大きく書き換わる可能性があります。

情報源 (1)

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    aboutamazon.com(新しいタブで開きます)原文aboutamazon.com

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