Googleが汎用AIアシスタント構想を発表:Geminiの世界モデル化とマルチタスク対応へ
GoogleはGeminiを汎用AIアシスタントへと進化させる構想を発表した。Gemini 2.5 Proを世界モデルへと拡張するほか、Gemini Liveへのコンピューター制御導入を進め、最大10件のタスクを並行処理できるブラウザエージェント「Project Mariner」を米国のGoogle AI Ultra加入者に公開した。

現在のチャットボットが物知りな相談相手だとすれば、Googleが目指す汎用AIアシスタントは、画面を見ながら自分の代わりに手を動かしてくれる有能な助手に近い存在です。
Google DeepMindは汎用AIアシスタントの構築に向けた最新のビジョンを公表しました。同社の中核モデルであるGemini 2.5 Proを、人間の脳のように現実世界を理解しシミュレートできる「世界モデル」へと進化させる計画です。
Astraの機能を製品へ統合、PC操作も視野に
Googleはこれまで、3D環境を生成するGenie 2や直感的な物理法則を理解するVeo、ロボット制御技術などを通じて世界モデルの研究を進めてきました。
この基盤をもとに、昨年披露されたProject Astraの技術が製品へ本格的に組み込まれつつあります。同社は過去1年で、映像理解や画面共有、記憶といったAstraの機能をGemini Liveに統合してきました。
今回の発表では、ネイティブ音声による自然な会話出力に加え、記憶機能の強化やコンピュータの操作機能が追加されたことが明かされました。現在は一部のテストユーザーからフィードバックを集めており、検索機能や開発者向けLive API、さらにはスマートグラスなどの新端末への展開を予定しています。
10件の並行処理をこなすProject Mariner
もう一つの柱が、ブラウザ上で自律的にタスクをこなすProject Marinerの進化です。昨年12月に研究プロトタイプとして登場したこの仕組みが、大幅にアップデートされました。
新バージョンでは、最大10個の異なるタスクを同時に並行処理できるマルチエージェント構成に対応しました。情報収集や予約手続き、買い物の調査などを別々のタブで同時に実行させることが可能です。
この機能は、米国のGoogle AI Ultra登録者向けに提供が始まっています。また、エージェントによるコンピュータ利用機能はGemini APIにも追加され、年内には他のGoogle製品群へも順次拡大される見込みです。
なぜ重要か
これまで個別に発表されてきた画像生成や物理シミュレーションの研究が、実用的なエージェント機能として一本の線につながった点が極めて合理的だと考えます。単に賢いモデルを作るだけでなく、画面を認識し実際に作業を肩代わりさせるための土台として世界モデルを位置づけています。
ユーザー視点では、ブラウザでの雑務を10件同時に丸投げできる Marinerの体験は大きな時短につながる可能性があります。調査や予約など、ブラウザを行き来する単純作業の多いビジネスパーソンには魅力的な進化です。ただし、現時点で利用できるのは米国の最上位プラン契約者に限られており、一般への普及にはまだ時間がかかりそうです。
業界全体で見れば、Anthropicが先行する「Computer Use」への強力な対抗策となります。GoogleはChromeやAndroid、スマートグラスといった強力なプラットフォームを握っており、基盤モデル単体で勝負する競合に対して明確なアドバンテージを持っています。
一方で、決済やアカウント操作が絡む作業をエージェントに自律実行させる際のエラー対策は依然として重い課題です。マルチタスクの処理中に誤操作が起きた場合のリスクをどこまで抑え込めるかが、実用化の鍵を握ることになりそうです。
情報源 (1)
- blog.google(新しいタブで開きます)原文blog.google