本文へスキップ
IFAI

AIツール

Google、Geminiを常時稼働エージェントへ刷新 PCを閉じても自律処理

公開 拡散指数 62

Googleは月間9億人が使う「Gemini」アプリの大幅刷新を発表した。端末を閉じてもクラウド上でメールや書類作成を代行する「Gemini Spark」や、動画生成モデル「Gemini Omni」を順次投入し、単なる対話相手から自律型パートナーへと移行する。

Google、Geminiを常時稼働エージェントへ刷新 PCを閉じても自律処理
画像:blog.google

これまで生成AIとのやり取りといえば、プロンプトを入力し、回答を読み、ブラウザを閉じるという一連の作業が基本でした。画面を閉じれば、AIの仕事もそこで終了していました。

5月19日に開催された「Google I/O 2026」で、Googleはその常識を覆しました。Geminiアプリの月間アクティブユーザー数は前年の4億人から9億人(230カ国・70以上の言語)へと倍増。この勢いに乗り、同社はGeminiを単なるチャットボットから、ユーザーの代わりに24時間自律して動く「エージェント」へと進化させる大型アップデートを発表しました。

パソコンを閉じてもクラウドで働き続ける「Spark」

発表の中心となったのが、常時稼働型のパーソナルAIエージェント「Gemini Spark」です。Gemini 3.5とAntigravityハーネスを基盤とし、Google Cloud上の専用仮想マシンで稼働します。

最大の特徴は、ノートPCを閉じたりスマホをロックしたりしても、バックグラウンドでマルチステップの作業を継続できる点です。Alphabet CEOのスンダー・ピチャイ氏は、ユーザーの指示のもとで自律的に行動するパートナーだと説明しています。

SparkはGmail、Googleドキュメント、スライドなどと深く連携しています。例えば、子どもの学校から届くメールを監視して重要日程をまとめパートナーに送信したり、毎月のクレジットカード明細を精査して不要なサブスク課金を検出したり、散らかったメモからドキュメントとキックオフメールを一括作成したりできます。Spark専用のGmailアドレスにタスクを送信することや、Chromeを通じたブラウザ操作も可能です。さらにMCP(Model Context Protocol)経由でCanva、OpenTable、Instacartといった外部サービスとも連携します。

Sparkは今週から信頼できるテスターに提供され、来週には米国のGoogle AI Ultra加入者向けにベータ版が公開されます。夏にはローカルファイルを扱えるmacOS向けデスクトップアプリも登場予定です。

あわせて、朝の予定や急ぎの未読メールを整理して優先順位をつける新機能「Daily Brief」も発表され、米国のGoogle AI Plus、Pro、Ultra加入者向けに提供が始まっています。

会話で編集できる動画モデル「Omni」とUI刷新

クリエイティブ領域では、新モデル「Gemini Omni」が発表されました。まずは「Gemini Omni Flash」がGeminiアプリ、Google Flow、YouTube Shortsに順次展開されます。

テキスト、画像、音声、動画を入力として高品質な動画を生成できるモデルで、物理法則や現実世界の知識を反映した描写が強みです。最大の特徴は、チャット形式で追加プロンプトを送り、キャラクターや背景の質感を保ちながら段階的に動画を修正できる点です。自分の声と姿を模したデジタルアバターの作成機能も備え、生成物には電子透かし「SynthID」が埋め込まれます。

また、Gemini全体のデザイン刷新「Neural Expressive」もグローバルで適用開始されました。単なるテキストの壁ではなく、インタラクティブな年表や動的グラフィック、解説動画などをリアルタイムに生成して返信します。音声対話「Gemini Live」も統合され、考えながら話す際に途中で遮られないマイク改良が施されています。

なぜ重要か

Googleが示した最大の強みは、「ユーザーの個人データをすでに握っている」という圧倒的なプラットフォーム力にあります。

OpenAIやAnthropicもエージェント機能を強化していますが、外部ツールを使うにはユーザー自身が各種サービスと連携し、権限を細かく設定する必要があります。対してGoogleは、日常の連絡や業務のハブであるGmailやGoogle Workspaceをあらかじめ押さえています。設定の手間なく、最初からメールやカレンダーを横断して自律動作できる利便性は、他社にとって大きな脅威となるはずです。

一方で課題となるのは、プライバシーへの懸念とコストです。米メディアのThe Vergeが指摘するように、メールボックス全体へのアクセス権を常駐エージェントに委ねることには心理的抵抗が伴います。Googleは金銭の支払いや送信などの重要局面で必ず確認を取る設計にしていると強調していますが、誤作動リスクへの警戒感は払拭しきれません。また、Sparkが最高価格帯のUltraプラン向けに限定されている点も、専用VMを動かすインフラコストの高さを物語っています。

現時点では、朝のタスク整理を自動化するDaily Briefなどを試す価値は十分にあります。しかし、本格的なバックグラウンド処理を任せるSparkについては、どこまで実用に耐えうるか、ユーザー側の慎重な見極めが求められます。

情報源 (4)

  1. [1]
    blog.google(新しいタブで開きます)原文blog.google
  2. [2]
    theverge.com(新しいタブで開きます)報道theverge.com
  3. [3]
    blog.google(新しいタブで開きます)報道blog.google
  4. [4]
    techcrunch.com(新しいタブで開きます)報道techcrunch.com

毎日のAIピックアップ