Google、Gemini Embedding 2を発表:画像・音声・動画を単一ベクトル空間に統合
Googleは、初のネイティブマルチモーダル埋め込みモデル「Gemini Embedding 2」のプレビュー公開を開始した。テキスト、画像、最長120秒の動画、音声、PDFを単一のベクトル空間に統合可能。MRL技術により次元数を柔軟に圧縮してストレージコストを抑えられる。

マルチモーダルな検索やRAGのシステムを組もうとすると、これまでは頭の痛い作業がつきものでした。画像には専用モデルを通し、音声はいったん文字起こしツールに投げ、動画はコマ割りと音声に分解した上で、それぞれのベクトル空間を無理やり突き合わせる必要があったからです。
Googleが公開プレビューとして提供を開始したGemini Embedding 2は、そうした面倒なパイプラインを根本から整理するアプローチをとっています。GeminiアーキテクチャをベースにしたGoogle初のネイティブマルチモーダル埋め込みモデルで、Gemini APIとVertex AIから利用可能です。
テキスト、画像、動画、音声、そしてPDFドキュメントを、100以上の言語に対応した単一のベクトル空間に直接マッピングします。
音声を文字起こし不要で直接埋め込み
最大の特徴は、複数のツールをつなぎ合わせた見かけ倒しではなく、モデル自体が最初から各メディアを直接解釈できる点にあります。
テキスト入力は最大8192トークンに対応しています。それ以上に目を引くのが非テキスト領域の仕様です。
1回のリクエストで最大6枚のPNGまたはJPEG画像、あるいは最長120秒のMP4・MOV形式の動画をそのまま処理できます。PDFも最大6ページまで直接読み込めます。
とりわけ実用的なのが音声の扱いです。従来のパイプラインでは音声をまずテキストに変換するのが通例でしたが、Gemini Embedding 2は文字起こしを挟まず、音声データをそのままベクトル化します。話し手のニュアンスや音響情報が途中で削ぎ落とされる心配がありません。
さらに、画像とテキストを組み合わせたインターリーブ入力にもネイティブで対応しています。メディア同士の文脈を踏まえた上で、1回のリクエストで関係性を捉えた埋め込みが作れます。
ベクトルデータベースのストレージコストを抑えるため、マトリョーシカ表現学習も採用されています。デフォルトの次元数は3072ですが、用途や予算に応じて1536次元や768次元に縮小して運用できます。すでにLangChainやLlamaIndex、Qdrant、ChromaDBなどの主要ツールに対応しています。
なぜ重要か
私たちの見立てでは、Gemini Embedding 2はマルチモーダルRAGの実装において最も泥臭かった部分を一気に解消しにきた印象です。
開発者にとっての価値は明確です。動画検索や音声ログの分析、画像入りマニュアルの社内検索を作る際、モデルごとに分かれていた前処理パイプラインを1つのAPI呼び出しに集約できます。保守の手間とレイテンシの削減効果は無視できません。
業界全体を見ても、今後のベクトル検索の基準を引き上げる一手になると考えられます。従来のマルチモーダル検索はテキスト主導のパッチワークになりがちでしたが、Googleが基底モデルのマルチモーダル能力をそのままベクトル層に落とし込んできたことで、競合各社も単一空間モデルの追従を迫られるはずです。
一方で課題もあります。動画は120秒まで、PDFは6ページまでという上限設定は、企業の本格的な長尺動画アーカイブや分厚い年次報告書をそのまま扱うには足りません。分割処理やチャンキングの工夫は依然として手元に残ります。
それでも、画像や音声が混在するデータを扱っているなら、今すぐ試す価値は十分にあります。特に音声の文字起こしステップを完全に省けるだけでも、試作運用のコスト感を大きく変えてくれるはずです。
情報源 (1)
- blog.google(新しいタブで開きます)原文blog.google