Google CloudがMLBと連携:AIでオールスターのホームラン着弾席を予測
Google CloudはMLBのStatcastと共同で、オールスター戦のホームランが観客席のどのブロックに届くかを予測する生成AIツールを発表した。打者の過去データや球場データ、風向などを加味し、Gemini 2.5 Proが球場スクリーン用のメッセージを即座に生成する。

球場のスタンドでグローブを構え、ホームランボールが飛び込んでくるのを待つのは、野球ファン共通の醍醐味です。
アトランタで開催されたMLBオールスターゲームで、Google CloudはMLBのトラッキングデータ部門「Statcast」と組み、ホームランの打球がスタンドのどの座席エリアに着弾するかを予測する生成AIツールを披露しました。
打球の着弾エリアをリアルタイム予測
野球のスタッツは過去を振り返るためのものが大半ですが、今回の取り組みはそれを一打席ごとのリアルタイム体験へと変える試みです。
システムの基盤となっているのは、オールスター選出選手の過去データです。打率や本塁打率だけでなく、過去の全球場における打球方向の傾向や、当日の風向き、気温といった気象条件までモデルに組み込んでいます。
AIが最も確率の高い客席セクションを割り出すと、そのデータはGoogleのGemini 2.5 Proへと送られます。モデルは数秒で数十パターンの告知メッセージを自動生成し、球場の巨大ビジョンや通路のモニター向けに出力します。
試合前のデモでは、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手を対象にテストが行われました。モデルは大谷選手が本塁打を放った場合、152から154セクション付近に着弾する可能性が最も高いと予測しました。
大画面に誤ったテキストを出さないよう、実際の運用では人間のスタッフが候補の中から最適な表現を選んで微調整するヒューマン・イン・ザ・ループの手法が取られています。
渋滞中の車に向けて街頭ビジョンもパーソナライズ
Googleはこの仕組みを球場内だけでなく、アトランタ市内を走る移動式デジタル看板にも展開しました。
Vertex AIを活用し、打撃データや投球データに加えて、リアルタイムの気象、現在地、さらには現地の交通渋滞データを統合しました。
例えばバックヘッド地区で渋滞に巻き込まれているドライバーに向けて、ロナルド・アクーニャ・ジュニアの打球初速は時速121マイルであり、アトランタ周辺の平均走行速度の5倍以上だというメッセージが瞬時に生成されて表示されました。
なぜ重要か
観客にとって、難解な統計データを自分で読み解くことなく、自分の座席にボールが飛んでくるかもしれないワクワク感を直感的に味わえるメリットがあります。
スポーツビジネスの視点では、事前に制作された画一的な映像演出から、試合展開や環境データに応じたリアルタイムの動的コンテンツ生成への移行を示す好例と言えます。
Googleのアプローチは非常に巧みだと考えられます。判定などのミスが許されない領域ではなく、外れても盛り上がるエンタメ領域にGemini 2.5 Proを投入することで、技術力と実用性を安全にアピールできています。
ただし、打球の行方はピッチャーの投球やバットの数ミリのズレで大きく変わるため、どこまでいっても確率の域を出ません。また、リアルタイム配信の前に人間が文言をチェックする必要がある点は、完全な自律運用に向けた今後の課題と言えそうです。
情報源 (1)
- blog.google(新しいタブで開きます)原文blog.google