Google Cloudが「AI Agent Space」を発表、企業向けエージェント市場で先行他社を追う
今週、Google Cloudは企業向けAIエージェントエコシステム「AI Agent Space」を発表した。パートナー企業は先行技術やエンジニア支援を受けながらエージェントを開発し、クラウド市場で販売可能。競合のマイクロソフトやSalesforceに比べ登録数はまだ限定的だが、本格的な対抗姿勢を示している。

クラウド大手による競争は、基盤モデルの性能比べから、業務に特化したAIエージェントを誰が最も多く揃えられるかというフェーズへと急速に移行しています。
Google Cloudは、パートナー企業がAIエージェントを開発・販売できる新エコシステムプログラム「AI Agent Space」を発表しました。あわせてGoogle Cloud Marketplace内に専用セクションを新設し、企業の導入を後押しします。
立ち上げ時の棚には十数件、本格拡充はこれから
スタート時点におけるAI Agent Spaceの掲載数は十数件にとどまっています。ラインナップには、マーケティング素材を生成するTypefaceや、自然言語でデータ分析が行えるThoughtSpotのSpotterなどが並んでいます。
Google Cloudのグローバルパートナー組織を率いるKevin Ichhpurani氏は、今後数カ月で数百のエージェントを追加する計画だと説明しています。参加企業には、Googleのエンジニアチームによる技術指導や最新技術への先行アクセス、共同販売機会やプロモーション支援といった特典が提供されます。
発表では、アクセンチュアやベイン、デロイト、PwCなどがVertex AIなどを活用して構築した事例も多数紹介されました。例えばデロイトの「Care Finder」は医師の検索時間を従来の5〜8分から1分未満に短縮し、ベインが支援した資産管理業務では15%の効率化を実現したとされています。
ただし、これら注目のエンタープライズ事例のほとんどは、現時点ではAI Agent Space上で一般販売されていません。Googleは自社ツールの可能性を示すショールームとしてこれらを提示し、自社開発したエージェントをSaaSとして外販する企業を呼び込みたい考えのようです。
マイクロソフトやSalesforceが仕掛ける包囲網
Googleがこのタイミングで動いた背景には、競合他社の猛追があります。マイクロソフトは同週のIgniteイベントで、すでに10万以上の組織がCopilot Studioを利用していると発表しました。Azure上の1,800以上のLLMとの連携や、複数エージェントを協調させる「agent mesh」アーキテクチャも打ち出しています。
さらにSalesforceは9月に自社データ基盤直結の「Agentforce」を投入し、SAPも基幹システムと連携するJouleの協調型エージェントを展開しています。Googleは4月にVertex AI Agent Builderを投入していたものの、サードパーティが成果物を流通させる市場機能では出遅れていました。
なぜ重要か
ユーザー企業の視点では、特化型AIを自前で開発しているソフトウェア企業にとって、Googleの営業網やクラウド販売枠を活用できる有力な販路が生まれたと言えます。一方で、すぐに使える業務エージェントを探している購買側にとっては、初期のラインナップが十数件とまだ乏しく、今すぐ頼れる調達先になるかは今後の拡充次第です。
業界全体としては、競争の軸がAPI提供から「パッケージ化された自律型エージェントの流通プラットフォーム」へ完全に移ったことを示しています。
私たちは、Googleがパートナーとの共闘を選んだ方向性自体は手堅いと見ています。しかし、十数件の実働製品だけでスタートし、実績紹介の大半が未掲載の受託事例である点には、先行するマイクロソフトへの焦りもうかがえます。今後数カ月でどれだけ実用的なSaaS型エージェントを棚に並べられるかが、このエコシステムの成否を分けることになりそうです。
情報源 (2)
- venturebeat.com(新しいタブで開きます)原文venturebeat.com
- siliconangle.com(新しいタブで開きます)報道siliconangle.com
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