Gemini Code Assistに「Agent Mode」追加、複数ファイルの一括改修が可能に
GoogleはGemini Code Assistの機能更新を発表した。新設されたAgent Modeでは、プロジェクト全体を解析し、1つの指示で複数ファイルにまたがる機能実装や大規模リファクタリングを計画・実行できる。実行前の承認フローやロールバックにも対応する。

これまでエディタ上でAIにコードを書かせる際、最大のストレスとなっていたのは、AIが「現在開いている1つのファイル」しか見えていない点でした。フロントエンドのコードを生成して貼り付け、タブを切り替えてバックエンドのコードを作らせ、手作業で辻褄を合わせる作業に時間を取られていた開発者も多いはずです。
Googleは、Gemini Code Assist向けに複数のアップデートをまとめました。先月Insiders向けに提供されたAgent Modeをはじめ、コマンドラインで直接動くGemini CLI、そして細かなIDE操作性の改善が含まれます。
個人開発者はVisual Studio CodeおよびJetBrains製IDEの拡張機能を通じて、これらを無料で利用できます。
プロジェクト全体を把握する「Agent Mode」
今回の目玉であるAgent Modeは、単なる補完ツールを超えたペアプログラマーとして設計されています。
アクティブなタブだけでなくプロジェクト全体のコードベースを解析し、アーキテクチャや依存関係、コーディング規約を理解した上で動作します。これにより、単一のプロンプトから複数ファイルにまたがる実装やリファクタリングを一括で実行できるようになりました。
たとえば「すべてのAPIエンドポイントを新しい認証方式に更新する」「コアライブラリをアップデートして破壊的変更を解消する」「フルスタックのユーザー設定ページを追加する」といった広範囲な作業を一度のリクエストで進められます。
コードを勝手に書き換えられる不安を減らすため、安全機構も組み込まれました。Agent Modeは修正を行う前に、変更対象のファイルと内容をまとめた詳細な計画を提示します。開発者はその計画を確認し、別の実装方針を指示したり、変更を拒否したりできます。
さらに、6月のアップデートで追加されたチェックポイント機能を使えば、提案を受け入れた後に不具合が見つかっても、影響を受けたすべてのファイルを一括で元の状態にロールバックできます。
ターミナル連携とエディタの操作性向上
プロジェクト全体を見渡すエージェントに加え、コマンドライン上で直接質問やコード生成、デバッグが行えるGemini CLIも提供されました。ターミナルとエディタを行き来するコンテキストスイッチを減らす狙いです。
IDE内の環境整備も進んでいます。従来の.gitignoreの自動適用に加え、新しく.aiexcludeファイルを作成して機密情報や古いコードをAIの読み取り対象から外せるようになりました。ターミナルの出力ログをそのままチャットに添付してエラー原因を尋ねることも可能です。
チャット画面では、コード提案が折りたたみ可能なプレビュー表示になったほか、チャット内に出てきたファイル名をクリックするだけで該当ファイルを開けるようになりました。不要な長文回答は途中で停止できます。
なぜ重要か
私たちは、Googleが単なるコード生成競争から「開発現場の実務フローの改善」へと舵を切った点を高く評価しています。
1行ごとのコード補完はすでにコモディティ化しており、今の開発者が求めているのは複数ファイルにまたがる整合性を保ちながらタスクを任せられる仕組みです。GoogleがこのAgent ModeをVS CodeだけでなくJetBrains環境にも広げ、個人向けに無料開放したことで、開発者の導入ハードルは一気に下がりました。
特に賢いのは、エージェントを自律走行させすぎず、事前の計画提示とワンクリックでのチェックポイント復元をセットにした点です。コードが壊れた際にすぐ元の状態へ戻せる安心感がない限り、現場で大規模なリファクタリングをAIに任せることはできません。
業界全体を見渡すと、Cursorなどの新興AIエディタが先行していた「プロジェクト全体の文脈把握と複数ファイル編集」に対し、Googleが既存のIDEプラグインという形で真っ向から追いつきにきた格好です。GitHub Copilotとの競合が激化するなか、専用エディタへの移行をためらっていたエンジニアにとって、今すぐ試す価値のある有力な選択肢になりそうです。
情報源 (1)
- blog.google(新しいタブで開きます)原文blog.google